【事実婚の実態】結婚の意義が見出だせない?事実婚でも良いのでは・・・と悩むあなたに向けたメッセージ

彼女と同棲していたりして、「結婚しても今の状況と何ら変わらない」と思っていたり、彼女とのお付き合いが長くて、今の状況が一番だと思っていたりする男性が最近増えたそうです。

紙切れ1枚(婚姻届け)の届け出で何が変わるの?確かにそうです。

夫婦としての心の結びつきに、婚姻届は必要ないともいえるかもしれません。

そして、海外の例を見て、彼女が結婚を匂わせたとき、「結婚の意義が見いだせない」とあなたがもし感じているとしたら、日本では事実婚では困ることがたくさんあるという認識が、あなたに薄いのだと思います。

そこで今回は、事実婚にはない結婚のメリット、すなわち「結婚の意義」をご紹介しましょう。

 

結婚の意義その1|家族を幸せにするための責任を背負う意思表示

結婚届けを出すのは、あなたのためではありません。

家族を幸せにして、家族を一生守る責任を負う、あなたの意思表示だともいえます。

(1)   結婚するとさまざまな届けが必要

結婚して、姓が変われば、姓の変更届けに負われることとなるでしょう。

多くの場合、男性の方が女性に比べて姓が変わる人が少ないので、名前の変更手続きに負われる人は、男性の方が女性に比べて少ないでしょう。

会社での手続き

結婚式を挙げたり、新婚旅行に行ったりして、長期の休暇申請をしていれば、会社の方から、「新婚さん」として、人事・総務から、社則に則って、さまざまな手続き書類を要求されることとなるでしょう。

・新居があるなら住所の変更届や通勤手当の変更申請

・奥さんを扶養するなら扶養家族の申請(住民税や健康保険の手続き、厚生年金の3号届け等)

・福利厚生でお祝い金等がでることもあります。

・姓が変わったら、名刺やパソコンのID、メールアドレス等さまざまな変更も必要になってきます

行政の手続き

・戸籍の作成

・引っ越しの為の住民票の異動

・運転免許証の住所変更届や名前の変更届け(裏書き)

・水道の契約者の手続き

その他

・医療保険・生命保険の、住所変更と死亡時の受取人の変更

・光熱費の契約者の手続き

・NHKの契約者の手続き

・携帯電話の契約者の住所変更手続き

・クレジットカードや会員カード、さまざまな住所変更手続き      etc.

 

これらの手続きに追われる事で、まず結婚した実感得ることでしょう。

これらの手続きは、「婚姻届を出したから」生じる手続きがほとんどです。

そして、これらの面倒な手続きによって、社会的に家族として認められるのです。

配偶者に何かあったときに、真っ先に連絡が行く、緊急連絡先にもなります。

夫婦としてのお互いの責任が社会的に発生した瞬間ともいえるでしょう。

(2)男性が結婚したことを実感する瞬間は女性と違う?

女性が結婚したことを実感するとき

数十年前から言われていることですが、女性が結婚したと実感する瞬間は、「奥さん」と呼ばれたり、「○○さん」と夫の姓(結婚して夫の姓を名乗った人の場合)で呼ばれたときだそうです。

姓の変更は、病院でも役所でも、さまざまな場所で呼ばれるので、一番感じることでしょう。

筆者も20代で初めて結婚したときは、「奥さん」と呼ばれて幸せを実感したものです。

男性が結婚したことを実感するとき

しかし、「ご主人」と呼ばれることは少ないせいか、男性が最も結婚したことを実感するときは、給料の使い道が自由でなくなり、「お小遣い制」になったとき、というのが圧倒的に多いのだそうです。

給料が銀行振込でなかった時代は、給料袋を持って帰って、奥さんに給料袋を渡す瞬間、「結婚した幸せを感じる」という意見が圧倒的に多かったそうです。

この瞬間「養ってるぞ!」と当時の男性は思ったそうですが、今は、こういう発言はモラハラ発言となる世の中です。

だから、現在世の男性の結婚の実感は、「お小遣い制になった」という悲しい表現になってしまいました。

これを、家族ができた喜びと感じるか、不自由と感じるかは、人それぞれです。

事実婚も結婚もそのカップルが感じる幸せは同じ but・・・社会的な評価は???

でも、これらの結婚した実感は、事実婚でも同じ感覚が味わえます。

経済的に男女とも独立しているなら、事実婚でも夫婦としての幸せを実感できることになります。

しかし、これは本人の主観の問題です。

日本では、社会的に事実婚はまだ認知度が低いといわざるを得ません。

だから、婚姻届けを出して、ちゃんと結婚することは、彼女の身分を守る最も簡単な手段ともいえるのです。

 

結婚の意義その2|社会的に彼女の正当な身分を与える

(1)事実婚でも結婚カップルと同じ扱いを会社・行政から受けることはできる

会社で扶養家族に彼女を入れたいと思ったら、会社に事実婚と宣言して、同居で生計を同一にしていることを申告し、それを証明する書類があれば、社会保険諸法令に則って、社会保険の被扶養保険者とする事もできます。

国民年金においては、3号被保険者の条件は「配偶者」であることです。

ですから、特例処理として、特別な証明書が必要なのです。

例えば、事実婚の夫婦としての生計維持関係を、民生委員の証明や近隣の証明書を用意すれば、事実婚でも国民年金の3号被保険者となることができることはできます。

このように、役所に事実婚であることを第三者の証明書を用意して届け出て、社会的にも婚姻届けを提出した夫婦と同じ扱いを行政から受ける方法はあります。

しかし、第三者の証明をとることは、事実婚の認知度が低い日本において、まだまだ難しいことです。

そこで、事実婚が増えてきた昨今では、法的に認められる契約書(結婚契約書・事実婚カップル合意書等)を作成することで、事実婚の法的な身分証明をすることもできます。

行政書士に2万円ほどで作成して貰えます。

これがあれば、第三者の証明をとる必要もなく簡単です。

しかし、日本においては、事実婚自体が社会的にあまり体裁の良いことではないと考える人の方が圧倒的に多いのです。

ですから、事実婚を望む人でも、おおっぴらに会社に宣言して、会社や行政に扶養家族として申請している人は少ないでしょう。

あるいは、そういうことができることを多くの人が知らないのかもしれません。

如何に日本が、事実婚の社会的浸透が薄い国であるかの証明ともいえます。

なぜなら、事実婚が一般的なフランスでは、事実婚で行政の恩恵を受ける手続きを会社が普通に代行してくれるからです。

一方日本では、事実婚を公言するだけで、職種によっては出世の妨げになることもあります。

(2)事実婚では親を介護する義務もないが相続権もない

フランスの法律とは違って、日本の法律では、行政書士が作る事実婚を証明する契約書があっても、結婚した夫婦にはできて、事実婚の夫婦にはできないことがあります。

それは、相続です。

彼女に財産を遺したい場合は、「遺言書」が必要です。

遺言書も何もなければ、事実婚の妻には、戸籍上は他人とみなされ、あなた名義の財産は全て法定相続人に取られてしまいます。

遺言書があっても、もし、法定相続人となるあなたの家族達が、遺言書に異議を唱え、裁判所に申し出れば、彼女の取り分は減少します。

遺言書による法定相続以外の相続に関しては、法定相続人の訴えによって、法定相続人は法定相続分の2分の1を取られてしまうからです。

これを遺留分といいます。

例えば、「全財産を事実婚の妻に譲る」という遺言書を残した場合で解説しましょう。

この場合、法定相続人の順位は、両親→兄弟姉妹→叔父・伯母あるいは従兄弟姉妹、となります。

彼らが遺留分を裁判所に請求すると、事実婚の妻は、あなたの財産の半分を持っていかれてしまうのです。

ただし、彼女にあなたの子供がいる場合は、あなたの子供は法定相続人の第1位ですから、あなたの全ての財産が子供に相続されます。

ただし、法的に認知していた場合に限ります。

 

結婚の意義その3|戸籍問題

(1)事実婚のカップルの間に生まれた子供は戸籍上父親のいない子になる

事実婚のカップルの場合、あなたと彼女の間に生まれた子供は、彼女の籍に入り、父親のいない子供として明記されます。

もちろん、あなたが認知して、あなたが法的に父親になることもできます。

それでも、戸籍上は「愛人の子供」と同じです。

この戸籍上の表記は、子供が生きていく上で、社会的にさまざまな不利益を被る可能性があります。

親同士が納得して、愛し合って生まれた子供なのに、社会的に「愛人の子供」と同じように戸籍に明記される不利益を、子供がある程度の年齢に達したら、子供自身にも納得させなければなりません。

一般的に何もしなければ、子供の名前は母親の姓になります。

一旦母親姓になった子供に、あなたの姓を名乗らせることもできないこともありませんが、さまざまな面倒な手続きが必要です。

愛人の子供を認知して母親から引き離したように、母親姓から父親姓に改名したことがあなたの戸籍には記されます。

初めから、父親姓を名乗らせたい場合は、自分の子供であるにも拘わらず、あなたの子供は「養子」として処理されます。

あなたは、戸籍上「未婚のシングルファーザー」となります。

日本の法律では、事実婚が認められていないので、婚姻届を出していない事実婚の場合は、あなたの戸籍と彼女の戸籍が別々であり、他人としてみなされます。

そこで、あなたと彼女の間に生まれた子供は、正妻がいないにも拘わらず、無理矢理法律に当てはめようとするので、このような戸籍の処理がなされるわけです。

現代の日本の社会常識を考えると、どちらの戸籍も子供にとっては不利益しかありません。

もしあなたが子供のいる家庭を望むなら、ちゃんとした子供の戸籍を作ってあげること、それが「結婚する意義」といえるでしょう。

(2)事実婚カップルの場合法的な妻の身分が不安定となる

例えば、あなたが浮気をして、事実婚上の妻である彼女が、浮気相手に慰謝料を請求した場合、法的に戸籍上の妻の身分ほどの強さがないのです。

慰謝料の額も、未婚の同棲カップルの浮気問題程度の扱いになることもあります。

あなたが、旅行中に事故に遭ったとしても、戸籍上の妻でない場合は、まず両親や兄弟姉妹といった戸籍上の家族に連絡が行き、彼女への連絡が遅れることもあります。

あなたが事故に遭って、手術や治療法の決断権も、一般的に戸籍上の家族の意見が優先します。

これは、戸籍上の家族がすぐ近くにいて連絡がとれる場合です。

このような状態で、もしもあなたが面会謝絶になった場合、あなたの家族の協力を得られない場合は、事実婚の妻は面会さえできず、死ぬときも立ち会えず、葬儀にも参加させて貰えない場合も考えられます。

家族にしてみれば、あなたの彼女への扱いは、好意的なケースでは「あなたの恋人」、最悪の場合は、事実婚の妻なのに、他人同様の扱いとなることもあります。

家族には、事実婚の契約書なんて何の効力もないのです。

あなたが何らかの事故や事件に巻き込まれて死亡した場合の賠償問題でも、戸籍上の家族が優先し、事実婚の妻のの請求権は弱くなります。

法的には、あなたの家族以上に、認知された子供は大きな請求権を持っていますが、成人していない場合は、事実婚の妻が子供の代理人となります。

あなたの家族が彼女に好意的な場合は良いのですが、正当な権利を主張するのに弁護士の力が必要となります。

このように、事実婚をしたい場合は、現在の日本の法律では、あなたの愛する家族が、堂々と陽の当たる場所で正当な権利を主張して認めて貰うには、しなくて良い苦労が必要だということを知っておく必要があります。

そして、そうならない対策をしておく必要もあります。

 

結婚の意義その4|事実婚の離婚は裁判での解決が困難かも?

(1)事実婚の離婚の場合

それに、人の気持ちは変わるものです。

もしかしたら、彼女にあなた以上に愛する人が現れるかもしれません。

その場合の事実婚の離婚は簡単です。

彼女が決意しただけで、彼女はさまざまな責任を放棄して、簡単にあなたの下から去って行くことができます。

子供の監護権・養育権を主張するには、例え公正証書にした事実婚の契約書があっても、今の日本の判例では事実婚は弱いのです。

法律には、定められていないこともたくさん有り、その点の補強は、過去の判例に則って判決されます。

しかし、過去の判例に、事実婚によるものが圧倒的に少ないのです。

そのため、法律に従って事実婚の別れるときの裁判の場合、未婚の恋人同士(同性カップル)が別れたときの慰謝料問題とか、男性が別れを納得しないストーカー問題とかを争ったかのような、軽い判決が出てしまう可能性も否めません。

(2)婚姻届を提出した夫婦の離婚の場合

結婚するときは、婚姻届を出すだけで簡単に夫婦になれますが、この紙切れは、あなたにも彼女にも、知らないうちに法的なさまざまな責任を負わせます。

だから、離婚するときは、紙切れ1枚(離婚届け)を出すだけというわけにはいきません。

離婚届けという紙切れ1枚を提出しただけで、さまざまな責任という縛りから解放される分、その責任で社会的に守られていた身の安全もなくなってしまうのです。

ですから、離婚届けを出すということは、そのさまざまな責任の壁を打ち破るだけの大きな勇気と覚悟とパワーが必要です。

それが面倒で離婚しない夫婦もいます。

実際、離婚裁判は、長くかかり、精神的にも非常にきついのです。

そのかわり、容赦なく勝ち負けがはっきりした判決が出ますので、あなたが正しい場合は身を守る手段となります。

 

まとめ

若く元気なときは、結婚も事実婚も大差ないでしょう。

筆者的には、双方が経済的に独立して、子供もいなくて、お互いが法律的な「事実婚」のデメリットを納得しているのなら、どちらでも幸せだと思います。

しかし、人生の節目節目で事実婚は、社会的にも法的にもさまざまな壁にぶち当たります。

事実婚がどんどん普及していった未来には、事実婚の法律も定められるかもしれません。

しかし、今想像できる日本の未来では、その見込みは限りなく低いでしょう。

だから、年齢を重ねたときに、人生の終わりを彼女に看取ってもらい、あるいは、彼女を看取りたい、一緒のお墓に入りたい、といった希望を持っているなら、結婚をお勧めします。

結婚は、愛する彼女の社会的身分を保証し、自分がこの世を去っても彼女を幸せへと導くさまざまな権利を与えてくれます。

それに、結婚は、彼女だけを守るものではありません。

残念ながら時とともに人の気持ちは変わります。

だから、2分に1組も離婚する世の中なのです。

しかし、離婚届けにサインをして、さまざまな手続きを考えただけで、人生が困難になることも想像できるので、衝動的に離婚をすることは少なく、離婚を思いとどまる事が多いのも事実です。

あなたの他に愛する男性が本当に出会ってしまった場合はどうでしょう?

事実婚の場合は、簡単に別れてしまうかもしれません。

しかし、一般的に婚姻届を出して結婚した妻は、不倫ドラマを熱心に見て、めくるめく恋に憧れることはあっても、本当に不倫をする勇気のある女性は滅多にいません。

あなたが本気で彼女と一生添い遂げたいのなら、あなたの彼女への無償の愛も必要ですが、彼女の心が気まぐれに他の男性に心が飛んでいかないように、法律という縛りを与えておくのもひとつの方法でしょう。

結婚している女性の不倫は、法的に大きな制裁を伴う行為だからです。

数え切れないくらいのたくさんの過去の判例があり、不倫のケースは、離婚裁判において圧倒的な不利な状況に追い込まれます。

彼女があなたから逃げられないように、ちゃんと婚姻届けを提出して、「妻」という社会的な身分を与えておくのも、あなた自身の幸せを守る方法となるのです。

その前に、筆者の独断と偏見かもしれませんが、世の女性の多くは「結婚」を望み、他の男性に心が飛んでいく暇もないほど、夫と夫婦仲良く幸せな人生を歩みたいと思っていると思います。

あなたの彼女が、事実婚を望むなら筆者の意見なんて関係ありませんが、彼女が結婚を望むなら、彼女のために結婚するのも有りだと筆者は思います。

作成者: kiriko

元社労士の主婦ライターです。 知識と経験を活かしてコラムを書き始めて10年になります。 いつも初心を忘れず、少しでも読者の皆様のお役に立てればと思いながら記事を書いています。 どうぞよろしくお願い申し上げます。