「月3万円ビジネス」の思考でフリーランスを楽しもう!
最近友人から紹介されて「月3万円ビジネス(藤村靖之著 晶文社)」という本を読みました。
東日本大震災の翌年2012年に初版本が発売されて、わずか1年でベストセラーになった本だそうです。
あなたが「お小遣い稼ぎのために簡単に副業で稼ごう」と思っているとしたら、ちょっと期待外れのないようかもしれませんが、フリーランスをいつか本業にしたいと思って復業をしている人には非常に参考となる思考だと思います。
ビジネス発想が非常に面白いのでご紹介します。
Contents
1.「月3万円ビジネス」の発想はすごい!
(1)「月3万円ビジネス」の序文を読んで
「月3万円ビジネス」は、その名の通り月給3万円のビジネスです。
一見、「3万円じゃ生活できない」と興味を持つ人は少ないので、競争社会には向かないビジネスのような気もします。
実際、競争ビジネスというよりは、皆で協力して分かち合うビジネス形態も取れるほんわかムードのビジネスだとあります。
事例を紹介
・平飼いのニワトリの卵を1日20個売るビジネス(1個50円、月600個で3万円)
・車のバッテリーをリフレッシュするビジネス(月に6個@5,000円で3万円)
・籾殻断熱パネルの製造・販売
・石釜づくりワークショップの開催
・有機野菜の朝市を月に2回開催
・ツリーハウスでカフェを運営
・顧客10人の買い物代行サービス
引用元「月3万円ビジネス(藤村靖之著 晶文社)
暇な時間を利用した「自分ができること」を売りにした、空いた時間の利用でできるサービスばかりです。
日本昔話の大昔時代の物々交換で始まった商売の基本に似ていると思いませんか?
物々交換ではありませんが、自分ができることをお金に換える商法です。
そんなに儲けを期待していませんから、趣味のような楽しんでできるような感じもします。
市場は、土地の安い遊休地が眠っているような地方で行われるサービスが前提だと紹介されています。
いわば、「地方で持続的に経済が巡回する仕事」であり、競争では無く、分かち合うビジネスであることを基本とした考え方です。
現代は、AI社会に一歩足を踏み入れ、リアルな人の付き合いよりもSNSが先行するIT社会でもあります。
そんな世の中で、人の和を重視した分かち合うビジネスは画期的です。
また、「月3万円ビジネス」は小さなビジネスですが、10個すれば30万円の収入になります。
小さなビジネスも複数こなせば、十分に生活できるという思想も、当たり前のようでなかなかできない思考です。
「実践するのは難しいのでは?」とか「どれだけ労力がいるの?」とか思う人の方が多いでしょう。
でも、古来仕事の元祖は、本来「自分ができることを他人のために役立ててお金に換えて生活する」というものだったはずです。
「月3万円ビジネス」の著書には、WEBを介さないで「人の和」で広がっていく「地方の経済循環の維持」ができるサービスとして紹介されています。
この「人の和」と「地方の経済循環の維持」を基本に、少し現代版のWEBやSNSを上手に活かした「月3万円ビジネスを」を筆者は勝手に「改定1”月3万円生活ビジネス”」と命名しました。
この「改定1“月3万円ビジネス”」を本当に実践している人を紹介した雑誌を見つけました。
「ビッグイシュー日本版 2013年5月1日214号(バックナンバー)」です。
(2)“月3万円ビジネス”の実践者を紹介
東日本大震災で福島から千葉県木更津に移住した「月3万円ビジネスの実践者、前田敏之さん(2013年10月13日)」が実際に行った「改定1“月3万円ビジネス”」がネットにも紹介されていましたのでご紹介します。
前田さんは、脱サラする前は、優秀なシステムエンジニアだったので、WEBの活用も抜群です。
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米づくりワークショップ(1回2,500円で月2回開催)
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米づくりで使う籾殻薫炭を使ったまくらの製造・販売(1個2,000円)
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ウェブ構築のサポート(1件15,000円)
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秋からは焼き芋ビジネスも開始
本当に工夫を凝らした自分で作り出す楽しそうなビジネスですね。
前田敏之さんは、脱サラしてホームレスに弟子入してまで、このスモールビジネスを画期的に運営して、本当に豊かな生活を営んでいるのだそうです。
ビジネスを営むホームレス、文明の利器を最低限しか使わない日本で一番ストレスの無い幸せなビジネスマンなのかもしれません。
しかし、社会と縁を切って故郷も捨てて、知恵と人脈だけ、ホームレスの環境にありながら、豊かな心で豊かな暮らしを営むことを目指す前田さんの生き方を実践するには、非常に大きな勇気が必要です。
筆者には、まず外で寝る、お風呂やトイレが自由でない生活に踏み込む勇気がありません。
ですから、個人的には思考の実践だけおすすめし、この先は「改訂版2“月3万円ビジネス”」を展開していきます。
注意)「改訂版1“月3万円ビジネス”」を少し発展させたのが、「改訂版2”月3万円ビジネス”」です。これも筆者が勝手に命名しました。
2.筆者のフリーランス業は「改訂版2“月3万円ビジネス”」思考
(1)ライター生活の「改訂版2“月3万円ビジネス”」思考とは?
「改訂版2”月3万円ビジネス”」は、一つ一つは小さなビジネスですが、筆者はそれに近い生活をしているかもしれません。
フリーランスのライターは、1記事ごとの報酬です。
記事の質が落ちると契約解除だってあり得ます。
月にかける本数だけ、複数のクライアント様とお付き合いしています。
1社に付き、その記事の本数によって、毎月3~5万円前後のお仕事を請け負います。
「他者に喜ばれるお仕事をしないと、お仕事が途絶えてしまう」という点「1記事単価×○本」のお仕事は、「月3万円ビジネス」の複数バージョンと同じです。
元祖「月3万円ビジネス」は「スモールビジネス」と「人の和」、「地域経済の維持」を基本に。
これをWEBやSNSを活用して行ったのが、「改訂版1”月3万ビジネス”」であり、「改訂版2”月3万円ビジネス”」は、同じく「スモールビジネス」、「人の和(信用を基本とした人と人の繋がり)」、加えて「ビジネスの継続と発展」です。
「改訂版2”月3万円ビジネス”」は、自分の生活スタイルの範疇で行うので、「地域経済の継続」が自分の経済の継続と循環、すなわち「自己のビジネスの継続と発展」になります。
(2)社労士事務所の個人事業主の「改訂版2”月3万円ビジネス”」思考とは?
社労士の仕事も同じです。
1つの仕事をして、その報酬を頂きます。
筆者の場合、信用を得たら、顧問契約をして込み込みの料金を決め、毎月安定収入を得ていました。
頼まれる仕事の規模や数に応じて、顧問料をクライアントと折衝します。
これで、月の報酬が決まります。
社労士の仕事も、初めは単体のお仕事を複数こなして「なんぼ」の世界です。
仕事は、一元様を大切にし、リピーターや紹介を増やすのが基本です。
士業はとくに、「お願いして助かった!」と他人の生活を助け、幸せに導くお仕事ですから、信頼を得て、「○○さんにも紹介しよう!」と思ってもらうのが基本だと考えます。
だいたいフリーランスの仕事はこんなものではないでしょうか?
3.フリーランスの基本には2つの方法がある
(1)背負うものや責任が大きな人は「月3万円ビジネス」は向かない?
「会社経営はそんなわけにはいかないのでは?」と思った方も多いのかもしれません。
しかし、初めから「年商○千万円~年商数億円」を狙っている人は、桁の違う競争ビジネスとなり、「月3万円ビジネス」の基本思考は向かないかもしれません。
家族を支えようと思ったらなおさらです。
フリーランスは、銀行の融資を受けにくいので、貯蓄が命です。
銀行の信用は、貯蓄金額と経済収支のみと言っても過言では無いでしょう。
だから、「たくさん稼がないと!」という思考が先行して、先の見えない小さなビジネスへの冒険は二の足を踏んでしまいます。
都会で生き抜こうとするなら、競争に勝たないと家族の幸せを維持できません。
だから、「月3万円ビジネス」は、背負うものの少ない人向けなのかもしれません。
背負うものが大きい人は、ビジネス競争に勝ち抜くために、アイデアと統計学、世の中の動きや情報を巧みに利用し、自分なりの個性的なビジネスを展開する才能が必要です。
(2)副業の方が「月3万円ビジネス」の基本思考を始めやすい
「月3万円ビジネス」を複数こなせば、生活を十分に維持できるかもしれません。
でも、複数の小規模ビジネスを一つ一つ成功させていく必要があります。
いくら小さなビジネスでも、成功しないとリピーターを得られず、人脈も信頼も広がっていきません。
お客さんを呼ぶというのはそういうことです。
だから、物価の安い比較的地方の「ご近所づきあい」という人の和が生きている場所で行うことがおすすめなのでしょう。
筆者の場合は、(元祖「月3万円ビジネス」ではなく、「改訂版2”月3万円ビジネス”」ですが)本来主婦でしたので、社労士の仕事も初めから夫の扶養の範囲内で十分だったのです。
だから、そんなに欲もありません。
ただひたすら、人脈と信用を大切に。
そして、「他人に喜ばれる仕事を基本」の精神で一生懸命仕事をしていたら、いつの間にか夫の扶養の範囲内を大きく超える収入が得られるようになりました。
収入は後からついてくるものなのかもしれません。
もちろん、小さいながらも工夫を凝らしました。
例えば社労士の時は、アラサーの筆者が還暦間際やそれ以上のご年配の方々の人事・労務のコンサルタントをするのですから、信用してもらうのが大変でした。
信用を得るために複数の国家資格を武器にめちゃくちゃ勉強をして、知識と既存の人脈を武器に仕事をこなして、その成果をお客様に見て頂くことしかできません。
人間関係の基本は「嬉しい」気持ちから起る感謝の気持ちであり、感謝の気持ちから生まれる「お返し」が「お返し」を呼んで、人脈や顧客が繋がっていくものだと筆者は信じています。
そんな自然現象を待ちながら展開するビジネスの場合は、副業だからできるのかもしれません。
筆者のライター業は、全て社労士時代の人脈から始まっていきました。
人脈による「人の和」は、新たな可能性を見いだし、新たな需要を生み出すのです。
人の和による成果は、長年の積み重ねで、気がつくと成果が現れているものです。
それに気付くまで続けることができるかどうかが、「月3万円ビジネス」(筆者が勝手に命名した改訂版を含む)の新たな基本思想ともいえるでしょう。
まとめ
経営学を基盤に展開する大ビジネスは、経営コンサルタントや広告代理店、WEBコンサルタントの力を借りて、事業展開を行うのが通例です。
でも、この大ビジネスは、これらの外注費を支払っていくために、また、銀行の融資の返済のために・・・etc.最低限維持すべき収入が大きいので、自分の好きなことを自由にやっていくわけにはいかないことも多いでしょう。
でも、大きな成果が出れば、我慢した分大きな達成感という幸せを得られます。
そういった成功者の生活とは真逆の生き方が、「月3万円ビジネス」であるように筆者は思います。
「月3万円ビジネス」の著者である藤村靖之さんの、基本思想を貫いて実践しようとすれば、「改訂版1”月3万円ビジネス”」の前田さんのように、脱サラしたり故郷を捨てたり、今の生活を捨てる覚悟が必要です。
でも、最近は、都会の生活に疲れた人々が単身で、あるいは家族で、地方に移住する生き方を選択する人も多く、そういった人々の行政の支援もたくさんあると聞きます。
いろいろな生き方があります。
でも、今のライフスタイルを維持し、もっと幸せなライフスタイルや働き方改革をしてみたい人は、「改訂版2″月3万円ビジネス”」がおすすめです。
今までの生活の基盤を残しつつ、藤村さんの思想の核を実践する、良いとこ取りの「月3万円ビジネス」ともいえます。
生活の基盤、本業であったり、家族の収入であったり、いろいろでしょう。
そして、人の和をフル活用して人脈や信頼を大きくし、自分なりの方法で、自分の好きなスモールビジネスを展開していきましょう。
1つの副業をまずは「複業」(いくつかのスモールビジネスを複数行う)にし、そしてさらなる複業が複業を呼び、その多くの複業が結合して最終的には1つの大きな本業になる、そういうビジネス展開も有りだと思います。
【参考】
※『月3万円ビジネス』(藤村靖之著 晶文社)
※ビッグイシュー日本版 2013年5月1日バックナンバー 214号
※「前田敏之さんが語る「月三万円ビジネス」の愉しさ(「りんりんふぇす2013」より)」|THE BIG ISSUE ONLINE