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【どちらが良い?】仕事を「辞めたいときの辛さ」vs「続ける辛さ」

ビジネス・起業・仕事術
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あなたは「仕事を辞めたい」と思ったことはありますか?
その時に、あなたは仕事を辞めましたか?
それとも我慢して今も働き続けていますか?

現在、仕事を辞めようかどうしようかと迷っている方もいらっしゃるでしょう。

仕事を「辞めたいときの辛さ」と「続ける辛さ」を比較して、どう行動するかは「あなたが決めること」ではありますが、その正しい判断は状況によって異なります。

では、どうするべきかの判断基準を、実例を参考にご紹介しましょう。

 

実例|某商社の営業マンの「辛い!仕事を辞めたい」

山田さんの所属する東北支社の営業職の実態

山田さん(仮名)は、23歳で今年の3月に大学を卒業したばかりの新入社員です。

大学は東京都内にあり、実家から通っていました。

 

入社後に、東京の本社で行われた新入社員研修(3ヶ月)を終え、7月から東北支社(仙台)の営業マンとして、東京から引っ越してきたばかりです。

営業の仕事は、接待も多く、お酒を飲む機会が増えました。

東北支社は東北地区全域を管轄していましたので、営業の仕事は仙台を拠点として幅広く、営業マンは、東北地区全域に散らばっている各取引先を順番に回ることになります。

そのため、必然的に一泊か二泊の出張も多くなります。

 

東北地区の営業先はどんなに遠方でも、電車で回るのは不便ということで、山田さんの会社では、遠方営業の移動手段は車でした。

長距離運転となるので、遠方営業の場合は3人1組で回ります。

そして、夜は自然と取引先の担当者との飲み会へと流れます。

当然全員お酒を飲んでますので車の運転はできません。

そのため、日帰りできる比較的仙台から近い県外営業先でも、そのまま近場のホテルに泊って翌日会社に戻る一泊出張となります。

このような飲み会の一泊も営業の一環として、一泊出張と認められ、翌朝10時にチェックアウトして、会社に戻れた時間の出社で許されます。

 

1ヶ月の半分くらいはこのような出張です。

しかし、出張なのにホテルの宿泊代や飲食代は経費とはならず、なんと自腹だったのです。

山田さんは出張が苦痛になっていく

もともとお酒が苦手な山田さんにとって、出張を重ねるごとに仕事が苦痛となっていきました。

山田さんは、お酒が苦手という理由で、飲み会だけでも辞退できないかと先輩にお願いしてみたこともあります。
でも、「接待だから会社の業務だ」と許してもらえませんでした。

山田さんは、「会社の業務」と言われては辞退もできないと諦め、仕方なく参加していました。

そして、ソフトドリンクを頼むことは場の雰囲気を壊すと先輩に言われたので、飲めないお酒もがんばって飲んでいました。

山田さんは、山田さんなりに必死にがんばっていたのですが、もともとお酒が弱い質だったので、身体は全く言うことを聞いてくれません。

吐き気をもようしトイレで吐いたり、お酒の酔いのための眠気覚ましに、気合いを入れようと風に当たったりしていると、結果的に接待中ほとんど席にいない状態となってしまうことも度々ありました。

それでも新しい契約が取れれば、3人の営業成績になります。

先輩からは
「トイレにこもってるだけでノルマ達成できていいよな。俺たちに感謝しろよ。」
と嫌みを言われます。

彼にとっては、身も凍るような言葉でした。
本当のことだからです。
自己嫌悪になりました。

こんな気持ちが重なって、彼はだんだんと出張が怖くなっていったのです。

山田さんはついに会社を辞めたい状況に追い込まれ、退職の決心をする

山田さんは、7月に東北支社(仙台)に配属されたばかりです。

それなのに、9月には既に「会社を辞めたい」と思うようになりました。
その気持ちは日増しに強くなっていきます。

山田さんは、ついに出張が決まると体調を壊すようになり、会社を休みがちになりました。
そして彼は11月末日をもって退職してしまったのです。
(この話は山田さんのご両親から相談を受けた話ですので、情報はこれだけです。)

 

山田さんの話を元に【会社として問題があるかもしれない】と考えられる点

山田さんの会社の給与規定(営業職の場合)

山田さんの会社の規定では、営業職の場合、基本報酬の他に営業成績によりますが、営業報酬というものがあります。

さらに定額の出張手当(会社規定の交通費と食事代の概算、宿泊代を含む概算)もあります。

交通費はガソリン代ではなく公共の交通手段としての概算料金が経理上決まっているそうです。

だから、営業成績によって変わってくる営業報酬と賞与の査定を加味すると、たとえ「仕事としての出張」だとしても、山田さんの会社の営業職の人は、多少の自腹は普通のことだと認識しています。

その自腹分の経費の立替は、出張手当で十分賄われているはずです。

さらに、月に半分も出張扱いになると、出張手当だけでけっこうな額になります。
そのため、考え方次第では、出張が多ければ多いほど給与が増額するし、営業報酬も増す可能性があるということです。

実際に、山田さんの会社の営業職の人間は、同期の他の職種の人より1ヶ月の報酬がかなり高いのです。

山田さんの出張における会社としての問題点(詳細がわからないのであくまで可能性)

しかし、仕事としてお酒が飲めない社員に、お酒を強要するのは、パワハラ(パワー・ハラスメント)ともいえます。

3人一組の車で移動する営業ですから、1人だけ先に帰るわけにはいきませんが、お酒を飲まない事が「場の雰囲気を壊す」というのは、いじめにも該当します。

3人いるのですから、他のお酒が飲める2人がフォローしてあげればすむことです。

取引先には車で来ているのですから、「運転手だから」と言い訳もできます。

だから、「新入社員がソフトドリンクをオーダーできずに飲めない酒を無理にでも飲まないといけない雰囲気」に問題があります。

管轄区域が広すぎるため、定期的に取引先を回ったりする必要性があり、代替手段がない場合は、出張が多すぎるとはいえません。

これは会社の取引状況や規定によります。

 

仕事が辛くて辞める決心をする前に本人ができること

山田さんの状態

7月に配属されて、9月にはもう仕事を辞めたくなるというのは早い気がします。

しかし、次の点を考慮すると、あながち早いとも言えません。

  • 月の半分近くが苦痛な出張。
  • お酒が弱いのに、無理矢理苦手なお酒を周囲に合わせて飲まないといけない環境にある。
  • 苦手なお酒と精神的なストレスで、体調不良を起こし始めた。

以上3点は、山田さんにとってこの2ヶ月、肉体的にも精神的にも非常に辛い状況にあったといえるでしょう。

このまま放っておくと山田さんは心の病になってしまう可能性もあります。

会社を辞めずに山田さんを救う方法

ここで、山田さんにとって救いと考えられる点を挙げてみましょう。

山田さんが入社した会社は、日本で知らない人がいないような大企業です。
大企業にブラック企業がないとはいえません。

過酷な残業を強いられ、自殺に追い込まれた女性社員がでたことで、最近話題になった某広告代理店も、誰もが知っている有名な大企業でした。

しかも、山田さんが勤務する会社は、少なくともコンプライアンスがしっかりしている企業として有名で、悪い噂が一切ない大企業です。

ブラックな面が表立ってないだけかもしれませんので、一概には言えませんが・・・。

 

では、山田さんが自分の労働環境を改善する手段を紹介しましょう。

  • 上司に異動願いを出す(営業の地域の異動あるいは、職種の異動)。
  • 本社のハラスメントや、労働環境関係の相談室に訴え出る。

まずは考えられる方法はこの2つぐらいでしょう。

しかし、異動願いが叶うまで時間がかかります。

山田さんのように、既に体調を壊している場合は、待っていられないでしょう。

…となると、会社の労働環境の問題を相談するところにパワハラを訴え出る方法が有効でしょう。

山田さんの会社がブラック企業でないという前提でのお話しですが、辞めるかどうかは、あらゆる方法を試した後に考えるべきです。

でも、本社の相談室にパワハラを訴え出ると、異動できたとしてもその先、会社の人間関係で気まずくなる可能性もあります。

東北支社内だけで、どうにか解決できないのでしょうか?

 

山田さんが会社で辞める前にできる最後の手段

心療内科の診断書を利用する

ちなみに、現在の東北支社の習慣を変えるのはなかなか難しいでしょう。

会社の先輩が、山田さんがお酒を飲まなくても良いようにフォローしてくれれば一番良いのですが、それができたら山田さんはここまで追い込まれていないでしょう。

東北支社長や人事の山田さんの評価は、残念ながら、山田さんのような耐えづらいほど仕事が辛い状況にあったとしても、既に体調不良を起こしている場合、彼はその地域でのその職種には適していなかったと見るのが普通です。

それでも異動願いが通らない場合、心療内科の診断書が有効です。

どうして心療内科の診断書が有効かを解説しましょう。

心療内科の診断書は人災の労災の可能性を示唆する?

山田さんの会社のようなコンプライアンスのしっかりした大企業では、ハラスメントが原因の人災に当たる労災事件(会社の業務が原因である心の病による長期休暇)を起こした場合、支社長の監督責任が問われかねません。

支社長には、大きなデメリットが発生します。

降格・減給、問題の状況によっては左遷人事も考えられます。

過剰労働やハラスメントが原因の心の病は、社会的に廃人になってしまったり、自殺に追い込んでしまったりで、最悪の可能性もあります。

他にもパワハラやセクハラ問題は政治の世界でもメディアで騒がれていますね。

世間的にもこのような問題に敏感な時期に、コンプライアンスで有名な優良企業と名をはしている大企業にとっては、山田さんのパワハラ問題には敏感なはずです。

だから、山田さんのような職場環境の場合、内科の診断書をとって異動願いを無視されるような場合は、心療内科の診断書をとって異動願いを出してみるのも一つの方法です。

本社に訴え出ると、会社のどの部署に異動しても居辛くなる可能性がありますので、本社に訴え出る前に、心療内科の診断書で支社長に異動願いを出してみるのがお勧めです。

支社長に異動願いを出すだけでスムーズに異動が叶うかもしれません。

ただし、心療内科を使うとあなたに予期せぬデメリットも生まれる可能性もありますので、このデメリットも認識しておく必要があります。

心療内科の診断書を使うデメリット

まず、本人にとって、営業職としての出世は望めなくなる可能性大です。
その覚悟は必須です。

山田さんが異動願いを出したことで「営業職として出世が見込めなくなった」としても、これは、労働基準法で禁止されている「ハラスメントを訴え出たからという理由における本人へのペナルティ」には該当しません。

本人の性格的な仕事の適正問題としての人事の正当な判断とみなされます。

なぜなら、アルコールに弱く、配属2ヶ月で出張の接待が苦痛で体調を壊すような性格では、もともと営業の適性に欠けるからです。

山田さんのような性格の方は、事務職がお勧めだと思います。
パワハラが強いのか、本人の忍耐力がないのかは定かではありませんが、本人の忍耐力の限界は、他人が判断するものではないのです。

本人が忍耐力の限界を超えて心の病になるかどうかのデットラインは、本人の心の強さも大きく影響します。
本人の仕事の能力や適性とは別問題です。

 

辞めるべき「仕事が辛い」状況のデットラインは?

心が耐えられるなら、転職のために仕事を「続ける辛さ」を選択しましょう

「石の上にも三年」や「五月病」という言葉があります。

一般的に、入社して2ヶ月くらいの時は、「仕事が辛い」とか「会社を辞めたい」とか思いがちです。でも本当に会社を辞める人は少ないのです。

昨今の不景気な時代に、入社半年程度で退職する場合は、転職に非常に不利です。
なぜなら、退職理由によほど正当な理由がない限り、本人の性格的な問題と判断されて、書類選考で落とされてしまう可能性の方が高いからです。

また、面接で退職理由を問われたときに、前職の悪口を言うことを人事は嫌います。

ですから、退職理由の正当性を主張するのは、とても難しいのです。

そのため、どうしても仕事が辛い場合は、出世を諦め、転職を前提に、期限を決めて仕事を「続ける辛さ」を選択する努力をしてみましょう。
少なくとも、1年は我慢した方が、次の転職に有利です。

次のステップ(転職)のための頑張りなら仕事の辛さを我慢できることもある

仕事を「辞めたい時の辛さ」を我慢して「続ける辛さ」を選択してがんばっている内に、上手くやっていく秘訣を見いだせることもあります。

例えば、「転職のため」という目標と我慢する期限を区切ったことで、心の負担が楽になることも多くなるはずです。

もう出世や営業成績をあまり気にしなくなるので、その心の余裕が、上手く立ち回るコツや、先輩の指示からも上手に逃げるコツを見つけたりして、苦痛が減っていく可能性もあります。

苦痛が減ることで、営業職において、本人の隠れた才能が顔を出し、評価に繋がることもあるかもしれません。

もしも評価が上げ、力をつけることができれば、お酒を飲まない主張も、場の雰囲気を壊さなくなるかもしれません。

「仕事を辞めたいときの辛さ」を我慢せずに思い切って辞める決心をすべき場合

仕事には向き不向きがあります。
そのため会社の人事は、入社の際や新入社員研修時に、本人の適性を判断し、配属先の希望にも配慮して、配属先は十分に考慮して決めたはずです。

だから、本来は、多少仕事が辛くても、がんばっている内にその辛さも乗り越え、大きく成長するはずなのです。

そのことは「石の上にも3年」の諺にも現れています。

しかし、人事の判断が思った通りにいかなくて、山田さんのように体調を崩してしまう場合も例外的にあります。

まず、仕事をがんばっているうちに体調を壊すというのは、2つの理由が考えられます。

  • 会社がブラック企業的な労働環境である
  • 精神的なストレスが本人の限界を超えるほど大きい(例:体調を壊す)

どちらの場合も仕事を辞める決心をお勧めします。

 

まず、労働環境がグラックの場合は、いくらがんばっても我慢しても状況は変わらず、長くいるほど労働基準法に反するさまざまなケースを体験するだけで、心が疲弊するだけでなく、怪我や病気、心の病、必ずこの3つの内どれかにかかってしまう可能性がきわめて大きいでしょう。

身体や心に支障を来たしてから辞めたのでは、人生に暗い影を落とす可能性もあるので、そうなる前に一早く逃げることをおすすめします。

体調を壊すまで既にがんばっているのです。
ブラック企業か、自分の心が弱いのか・・・を悩んでいる時間はありません。
これ以上がんばると、心の病になってしまいます。

心の病が重篤になってしまうと、最悪の場合、本人が意図していなくても無意識に「自殺」してしまう精神状態に追い込まれてしまうこともあります。

自殺まで追い込まれていなくても、心の病になってしまっては、社会復帰が難しくなってしまいます。
がんばりすぎて、対人恐怖症や適応障害になって、働くことができなくなってしまう可能性だって高くなります。

もうこうなっては、「転職に不利だ」とか言っている場合ではなくなります。

社会人としての日常生活ができなくなってはお終いです。
そうなる前に、自分を守る必要があります。

会社はあなたを守ってはくれないことを十分に認識して、自分の身は自分で守る必要があります。

 

まとめ

社会人として仕事をしていると「辞めたい」と思うことは必ずあります。
その時どうするかで、その後の人生が大きく変わります。

仕事を辞めてしまうのは簡単です。

でも、耐えられるなら辞める前に、もがいてみましょう。

もがいている内に、その辛い試練を乗り越えられるかもしれません。

試練を乗り越えたら、人間的に大きく成長できます。
理想を言うなら、転職したとしても、試練を乗り越えた後に、それでも転職したいなら、それはあなたの人生の転機かもしれません。

もがかずに、直ぐに逃げたら、人間として何も成長することはありません。
どこに行っても、仕事は辛いものなのです。

その辛さを乗り越えたその先に、仕事を楽しく感じられ、充実した人生が待っているともいえるでしょう。

あるいは、仕事の辛さを乗り越える努力をしたとき、自分に本当に合った仕事かどうかがわかり、自分の天職に気付く瞬間も得られるかもしれません。
しかし、心が限界を迎えているときは別の話です。

社会人として日常生活に支障を来たすようになるまで、がんばってはいけません。
心が壊れてしまう前に、心を守るために逃げる勇気も必要です。

自分を守るために逃げるのは、決して恥ずかしいことではありません。
そのデットラインを決めるのは、あなたにしかできません。
自分のために、乗り越えられる辛さかどうかの判断をしっかりしましょう。

その判断に迷ったときは、会社の救済システムだけでなく、労働基準法や、ハローワークや労働基準監督署の労働相談、社労士事務所、そういった知識や情報を少しでも多く知っている方が自分を守る術になります。

これらの機関に相談した上で、アドバイスを参考に、もがいてみるか、辞めるかを決めるのも一つの方法です。

ただし、がんばりすぎないように、そして心の限界を決して超えないように、常に心の声に耳を傾けていてくださいね。

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kiriko

kiriko

元社労士の主婦ライターです。
知識と経験を活かしてコラムを書き始めて10年になります。

いつも初心を忘れず、少しでも読者の皆様のお役に立てればと思いながら記事を書いています。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

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