法人化のメリットって何?デメリットも合わせて正しく理解しよう。
起業しようとする場合に一番悩むのが、個人事業主として独立するか法人として独立するかです。
個人事業主の方が何かと手軽そうだけど、本格的に仕事をする場合は法人の方が何かと便利そうだし。
今すでに個人事業主として独立されているあなたも、法人化した方がいいのかどうか悩んでいることでしょう。
そんな、法人化に悩むあなたに、法人化のメリット・デメリットについてお伝えします。
Contents
個人事業主と法人の違い
まず最初に、個人事業主と法人の違いについて、きちんと理解しておきましょう。
個人事業主と法人は、税務面で大きな違いがあります。
個人事業主の特徴
個人で起業される方は、個人事業主でスタートする人が多くなっています。
インターネットを利用した仕事はきちんとした事業所を構える必要がなく簡単に起業できるので、まずは個人事業主としてスタートする人が多くなっています。
個人事業主は、事業を自ら行う人で、法人として開業していない全ての人を言います。
個人事業主の場合、税務署に開業届を提出する以外に国や地方自治体に届出したり登録したりする必要はありません。
それどころか、税務署への開業届は、提出していなくても罰則はありません。
開業届提出で税務上のメリットを受けら得る可能性
個人事業主で税務署に開業届を提出するメリットは、税務上の特典を受けることができる「青色申告制度」が使えることです。
青色申告制度の最大のメリットは、税金の控除額が10万円から最大65万円と大幅に増える点です。
ただし青色申告を選択すると、複式簿記という経費処理がちょっと面倒なやり方をする必要があるというデメリットがあります。
複式簿記って?
複式簿記というのは、お金の動きを借方と貸方という二つの面で記録していく方法で、一つのお金の動き貸方と借方の二種類に分けて記録する必要があります。
お小遣い帳のように毎日のお金の動きだけを記録していく単式簿記に比べて、作業量が単純に2倍になるだけでなく、借方と貸方の概念をきちんと掴んでいないと間違えてしまいます。
複式簿記は、簡単な簿記の知識が必要になります。
青色申告を選択すると複式簿記を採用しなければならない理由は、税務署がお金の動きを掴みやすいからです。
ただ最近は、単式簿記のように記録していても複式簿記が出来上がるという経理システムがクラウドで安価に提供されていますので、以前ほど複式簿記も面倒臭くなくなりました。
クラウド経理システムは毎月数千円の利用料が必要なので、システム利用料と控除額と売り上げを天秤に計りながら、青色申告を利用するかどうかを決めることになります。
法人の特徴
法人とは、人ではない「組織」に人格を与えたもののになります。
仕事上で何か問題が発生した時、個人事業主は個人の責任になりますが、法人の場合は個人ではなく法人の責任になります。
ただ個人事業主から法人になった場合、株主と代表取締役と社員が全て兼務なんてことがあり、この場合に法人の責任といっても、結局は個人に責任が発生してしまうことになります。
簿記はもちろん複式
簿記は個人事業主と違って選択の余地はありません。
もちろん複式簿記です。
会計年度は自由に決められる
個人事業主の場合、会計年度は4月始まり3月末終了ですが、法人の場合は自由に決めることができます。
ただし、一度決めたら簡単に変更することはできません。
法人の会計年度は、その法人の憲法とも言える「定款」に記載しますが、定款は法人登記の際に法務局に提出する必要があり、定款を変更する場合は法人登記をやり直す必要があります。
法人化のメリット
信用力
法人化の最大のメリットは、信用力でしょう。
法人の場合、社長と会社の財布が別だったり、経費処理をきちんとして税金を納めなければならなかったりなど、個人事業主に比べればはるかにお金の扱いをきちんとしなければならないので信用力が上がります。
また、法人を維持するためには年間30万円程度の経費が必要になり、その費用を払ってまで法人を維持しているという点でも信用力がアップします。
経費にできる種類が多い
法人のメリットとして、経費にできる種類がとても多いということでしょう。
個人事業主でも青色申告にしていれば経費にできる種類が多くなりますが、控除額の合計は65万円と制限があります。
しかし法人であれば、様々な制限はあるものの経費として認められる費用全額が税金控除の対象となります。
助成金や補助金を受けられる
国や地方自治体は、様々な方法で企業を支える策を展開していますが、助成金や補助金もその一例です。
助成金や補助金は支給対象の要件を満たせば100%支給されるものもあり是非利用したいところですが、その多くが個人事業主が対象となっていないのです。
許認可の必要な事業ができる
あなたがやろうとしている事業によっては、監督官庁からの許認可が必要なことがあります。
許認可は、企業の体力・やる気を見るためのものがほとんどなので、その多くで法人であることが求めらています。
許認可を持つ会社の下請けとして仕事をすることもできますが、仕事の醍醐味は仕事全体を引き受けることですから、できれば法人として許認可を受けて仕事をしたいものです。
やる気が違う
やっぱり個人事業主と法人の代表とでは肩書きが違いますから、やる気が全然異なるようになります。
許認可が必要な仕事を直接受ける時に感じる責任感は、下請では絶対に得ることができないものです。
法人化のデメリット
様々なメリットがある法人の設立ですが、もちろんデメリットもあります。
余計な作業が多い
法人を設立するためには、さまざまな作業が必要です。
- 定款の作成
- 資本金の準備
- 司法書士等との調整
- 法務局への登記
- 法人印の準備
- 税務署への開業届の提出
- 地方自治体への開業届の提出
- 法人銀行口座の開設
- 複式簿記
これらは全て個人できることですが、定款の作成や法務局への登記までは慣れていない人にはとても負担が大きい作業です。
また、会社の法務局への登記は個人で頼むより司法書士などに頼んだ方が安価にできます。
こういった、会社登記までの作業は実際には司法書士に依頼することになりますが、信頼すべき司法書士を探すことは結構面倒なことです。
税務署への開業届けの提出も、個人の場合は提出しなくても問題ありませんが、法人の場合は必ず提出する必要があります。
法人銀行口座の開設がやっかい
実は、法人の銀行口座の開設ってかなり厄介なんです。
個人の場合、銀行に行って届け出を出して印鑑を押せばその場で銀行口座が作れます。
しかし法人の場合、その場で銀行口座を作れないことが多くあります。
これは、詐欺や資金洗浄などの目的で銀行口座が利用されないよう、会社の実態などを調査するために必要な期間だと言われています。
会社の登記状況や住所などを現地確認して会社の実態があるかどうかを確認するようです。
大手銀行の場合、開設の調査に1週間以上かかることもあり、待たされた結果、口座の開設を拒否されることもあります。
法人の銀行口座が作りにくい世の中なのです。
信用金庫や地方銀行では比較的簡単に口座を作れますので、法人化後の初めての銀行口座は大手銀行ではなく地元の銀行を利用するほうが無難でしょう。
利益がなくても税金を支払う必要がある
法人の場合、利益がない場合は法人税を払う必要はありません。
しかし、地方自治体へ支払う法人住民税は一律7万円を支払う必要があります。
全くなんの活動をしていなくても、法人の場合は7万円の住民税を支払う必要があります。
法人にする最大のデメリットは、利益が出なくても支払う必要がある住民税ではないでしょうか。
まとめ
法人化のメリットについて、デメリットと合わせて解説してみました。
個人事業主でうまく行っているのに、あえて法人化するメリットはあまりないように思っているあなた。
もっと稼ぎたい、もっと大きな仕事をしたいと思った場合は、高い信用力が得られる法人にするメリットはかなり大きいと言えます。
もし、今個人事業主でうまく行っていない場合、現状を打破するために法人化するのもいいと思われます。
ぜひ、法人化のデメリットをよく認識して、あなたのビジネスを大きくしてくだださい。