【怒りのマネジメント法】怒りが抑え切れずに疲れてしまうあなたが、日々意識すべき3つの事

ストレス社会において「怒りが抑えきれない」と思ったことがある人は多いと思います。

人の考え方は千差万別ですから、そのすれ違いでイライラしたりカリカリしたりするのです。

でも、ものすごくしょっちゅう怒っていて、「一生懸命なのはわかるけど……」と思われるだけで指導力が無い上司と、「滅多に怒らない穏やかな人なのに、指導力抜群!」という上司に別れてしまうのはどうしてでしょう?

怒りを感情的にぶつけてしまう人が前者で、怒りを一旦心にとどめて上手に表現している人が後者です。

ちょっとした工夫をしたら、誰でも後者になれるのです。

そこで今回は、怒りを上手にコントロールして、相手に上手に伝える方法をご紹介しましょう。

 

1.腹が立ったら深呼吸をしてみよう

(1)怒りのピークは6秒

怒りの感情は、非常に疲れを伴う感情なので、早々長く続くものではありません。

しかし、怒りが爆発しそうになった時、そのまま怒りを爆発させてしまっては、言わなくても良いことを言ってしまったりして、やり過ぎて後悔する事の方が多いものです。

怒りのピークの持続は約6秒だと聞いたことがあります。

「怒りが爆発しそうになってしまったら、まずは深呼吸!」というのも良く聞く言葉ですね。

深呼吸をゆっくりと鼻で息を吸って、息を長く吐くと、だいたい6秒かかります。

昔から言われていることは、だいたい何らかの意味があるのです。

(2)息をゆっくり長く吐くことで怒りはおさまる?

怒りがMAXになったら、交感神経が活発になって、全身に力が入ります。

そんな時に、鼻から軽く息を吸って口から少しずつそして長く息を吐くと、交感神経から副交感検査に強制的に切り替えることができ、身体の力が抜けてリラックス方向へと向かいます。

身体の力が抜けると、怒りの感情は残っていても、怒りの衝動は収まっているので、冷静な対応ができるのです。

怒りMAXは、ストレスもMAXになるので、あなたにとってムダな怒りは百害あって一利無しです。

2.一人称会話をしよう

(1)一人称会話って何?

一人称会話とは、「私は○○だと思います」という、“I”を主語にした会話です。

対して「あなたは○○です」といった感じで“You”そ主語にした会話を二人称会話といいます。

同じことを言っても、受け取り方がずいぶん違ってきます。

まずは、どんなふうに異なるかを紹介しましょう。

田代課長と山田来んの会話

例えば、比較的時間にアバウトなマイペースの山田君と上司である田代課長の会話です。

山田君は。田代課長から仕事を頼まれたときに、いつも指定した日時までに仕事を終わらせることができません。

この状況に田代課長はいつもイライラしていて、山田君は叱られていますが、山田君の仕事っぷりは全く改善されません。

今日も田代課長は山田君に注意しています。

田代課長 「山田、一昨日頼んだ資料はまだできないのか?」

山田君  「すいません。もう少しかかります。」

田代課長 「(山田は)どうしていつもこうなんだ!」

山田君  「すいません」

田代課長 「(山田は)遅れるなら遅れるで、どうして前もって報告しない?」

山田君  「……」

田代課長 「報連相は仕事の基本だろう?(山田は)相手のスケジュールに気を遣うこともできないのか?
仕事はチームで行うものなんだから、周囲が見えない人間(山田)は、いつまで経ってもアシスタントのままだぞ」

山田君  「……」

田代課長の言葉は、全て“You”(山田)が主語になっています。

つまり二人称会話です。

二人称会話で注意すると、相手を責め批難する形になって、相手を追い込むだけで、全く指導になっていません。

山田君がどうして仕事が遅いのか、どうして報連相の報告ができないのか、山田君の立場に立って仕事の改善を導くのが、田代課長にとっても会社にとっても得策であることを認識すべきです。

しかし二人称会話のままでは、山田君を否定することにしかなりません。

もし、田代課長が言い方を少し改めて、一人称会話にしてみたとしたら、どのようになるのでしょう?

田代課長 「山田、一昨日(私が)頼んだ資料はいつできるの?」

山田君  「すいません。もう少しかかります。」

田代課長 「(私は)遅れるなら遅れるで中間報告を入れてもらいたい。仕事はチームで行うものなんだから、いつまで経っても周囲が見えないようでは、(私は)山田に安心して仕事を任せられないよ。
報連相は仕事の基本なんだから、何か困った事態になったり、何か理由があるなら、(もしそうだったら私は)その都度報告して欲しい。」

山田君  「これから気をつけます。※」

田代課長 「ところで、(私は)いつ資料を貰えるの?」

山田君  「今日16時までには…」

田代課長 「よろしく。」

山田君  「はい。急ぎます。」

全く同じ内容を言っているのですが、一人称会話をするには、言葉も丁寧になりやすいですし、山田君にちゃんとスケジュールを組むように促せます。

また、山田君に仕事が遅れる何かしらの理由がある場合は、山田君は「※」部分でその理由を主張しやすくなります。

山田君の解答によっては、その対策的指導ができるかもしれません。

(2)ゆっくり丁寧に話す方が怒りを表現しやすい?

怒りが頂点に達したときに、怒りに震える自分を深呼吸で無理矢理押さえつけ、頭を一旦真っ白にします。

そして、心を落ち着けて、一人称会話で言葉を選んで話そうとすると、あなたは自然と言葉が「ゆっくり」になるはずです。

怒りを無理矢理押し殺すのは、ストレスに繋がると思うかもしれませんが、怒りの感情をぶつけるのでは無く、少しリラックスした状態で、ちゃんと意思を伝えているので、我慢しているわけではないのです。

ということは、我慢を押し殺したわけではなく、意思をしっかりと伝えているので、ストレスはたまりません。

むしろ、いつもと口調が変わってゆっくり話すだけで、「怒ってますよ」「私困ってます」「私待ってます」という強い主張ができるのです。

相手に対して、強いリクエストをしていることになります。

いわば

「私は○○してもらいたいんだけど、まだできないの?いつできるの?速くしてよ!!(怒)」

と言っているようなものです。

相手に希望を話して、リクエストをして、できない理由も聞き出せます。

相手に反省も促せるのです。

注意をするときに、相手を責めてしまっては、下手すると逆効果になりかねません。

相手に反省を促すどころか、相手にとっては、責め立てられる嵐のような感じで、お叱りタイムが通り過ぎるのを待つだけの、意味のない時間となってしまうかもしれません。

このお叱りタイムが強いストレスとなって、パワハラととらえられかねません。

あなたにとって、マイナスにしかならないのです。

 

3.怒りのマネジメントの基本事項|基本的思考と言葉遣いについて

(1)怒りのマネジメントの基本1|気をつけるべき思考

怒りの沸点が高い人ほど怒ることが少ない?

人は、怒るときの沸点が低い人と高い人がいます。

そもそも「怒り」という感情は、自分の常識の範囲を「あり得ないくらい逸脱した行為」を目の当たりにして、わき起こるものです。

自分の常識を逸脱した行為には、「許容範囲」と「あり得ない」行為があるので、この許容範囲が小さい人ほど沸点が低いのです。

つまり、怒りの沸点を上げるには、この許容範囲を大きくしなければなりません。

では、どのようにすれば許容範囲が大きく広がるのでしょう。

許容範囲を大きくする思考とは?

筆者は、人の思考は自分とは違うことを前提と考える用にしています。

育った環境や生きてきた環境、地域による文化・風習の違いによって、人の常識は形成されていくのですから、人の常識は違って当たり前なのです。

だから、自分の思考と他人の思考が食い違った時は、「この人はこういうふうに考える人なんだ」と認識します。

相手の思考をまず受け入れるのです。

そして、自分の常識に従ったリクエストをして、自分の希望を伝えます。

言っても理解して貰えない人には、「この人には通じない」と判断した場合は、その人には期待していないので、その人が何をしても想定の範囲(許容範囲)内です。

ですから、自分がして欲しくない行動をされないように、その人には、より具体的なリクエストが必要となります。

心配なときは、はっきりと、あるいは何気なく中間報告を求めます。

仕事に対して、自分の期待に反した行動や対応をされたときは、自分のリクエストの仕方が、その人には通事なかったのだと、次回からは気をつけるようにします。

自分が指導しなければならない人や、自分の大切な人には、自分の思考を分かって貰いたいので理解を求めますが、そうでない人にはさほど期待しないよう心がけると怒りの沸点がより高くなるというわけです。

そうは言っても「言うが安し」で、筆者は楽天的な信じやすい性格だったので、怒りを上手にコントロールできるようになるのは今でも難しいと思っています。

でも、仕事の時は、感情的に怒って得することはないので、上手に感情をコントロールできるように、可能な限り心がけるようにしています。

年齢を重ねると心の沸点が高くなるのはどうして?

世の中、「言っても仕方の無い人」、「常識の通じない人」は居るのです。

そんな人とは、争って怒ること自体が時間の無駄だと割りましょう。

そんなふうに考える筆者も、40代までは「心を込めて接すればいずれ気持ちは通じるもの」だと信じて頑張っていました。

しかし、年齢を重ねるにつれて、心が面倒なことを嫌がって、自分が傷つかない対応をするようになりました。

心も老化していくので、傷ついたとき、若い時のように、すぐに元気に回復しなくなるのです。

「人は年齢を重ねると丸くなる」と言われているのは、心が傷つかないように自己防衛する手段として、自分の許容範囲を大きくすることで心の沸点高くしていくからです。

つまり、少々のことでは怒らなくなるのです。

年齢を重ねるに従って、様々な経験則から、より効果的で具体的なリクエストを出せるようになります。

人によって、リクエストの出し方に工夫も必要です。

このように、怒りをコントロールして、個別に効果的なリクエストのできるように、怒りのマネジメントをする訓練を日常的に心がけましょう。

(2)怒りのマネジメントの基本2|怒っているときに使わない方が良い言葉とは?

怒っているときこそ一人称会話が基本!

いくら具体的リクエストをするつもりでも、二人称会話では、あなたの言葉を受けた相手は、あなたが自分を批難しているに過ぎないパワハラ発言と受け取るかもしれません。

だから、怒り防止のための具体的リクエストを相手に伝えるときの言葉は、一人称会話が基本です。

怒鳴らなくても、丁寧な言葉でゆっくりと話すだけで、迷惑している状態を相手に理解して貰えます。

「怒鳴らないと伝わらない」という人には、より具体的にあなたのリクエストを伝えれば良いだけです。

例えば、「あなたは××と考えるかもしれませんが、私は○○と考えます。今は私のやり方でお願いします。」

とか

「あなたの気持ちは理解しました。でも、私は○○と思いますので、今は△△のやり方でお願いします」

といった感じで、相手の考えをいきなり否定するのでは無く、一旦受け入れて、それから自分の考えを具体的に説明し、具体的なリクエストを出すのがお勧めです。

過去の例やたとえ話をしていると、リクエストの要点がぼやけて抽象化するので、自分の思考が上手く伝わりません。

言葉は心の翻訳機(自分の常識・経験則というフィルターを通して解釈)を通過して、言葉の意味を理解します。

ですから、同じ日本語を話していても、自分のリクエストが相手に寸分違わず伝わるかどうかは不明です。

どうしてかというと、自分の常識や経験則によって生まれた具体例を説明しても、その具体例が相手の理解を促すかどうかも定かではないからです。

だから、より具体的にリクエストを明確化しなければなりません。

また、長く詳細すぎるリクエストは、リクエストが多すぎて焦点がぼやけ、ぼやけた点に相手の解釈が入るので、あなたのリクエストからズレて伝わってしまうこともあります。

説明した後に「上手く伝えられたかな?分からないときは聞いて下さい」と言っておくと、あなたのリクエストに対する疑問を質問しやすくなります。

ちなみに、リクエストを抽象化してしまう使わない方が良いNGワードと、そのNGワードを改善したお勧め言葉を紹介します。

NGワード → お勧め言葉

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NGワード お勧めの言葉や話し方
「いっつも~」「絶対~」 「過去に○回(いつといつと明確に)ほど~」
「前から言おう言おうとと思ってたんだけど」 →「~して下さい」
(次回同じお願いをするときには、「前にも同じお願いをしましたよ」と付け加える」)
「ちゃんとして下さい」 人の「ちゃんとする」常識は千差万別です。
だから、あなたの「ちゃんと」を具体化してリクエストして下さい。
「なぜそんなことするわけ?」「どうしたらそんなことができるの?」 二人称会話ですから、相手を責めているだけです。
あなたの常識行動を具体的に説明してあげないと相手は理解しません。
だから、「私は○○して欲しかったんだけど、どうしてそんなふうにしたのかを教えてください」といったふうに具体的に質問してみましょう。
理由を聞いたら、あなたのリクエストの仕方のどこが伝わらなかったのかわかります。
次からのリクエスト仕方の参考にしましょう。

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まとめ

いかがでしたか?

怒っているときの一人称会話は、なかなか難しいものです。

明らかに悪意がある場合は別の対処が必要ですが、悪意がない場合は、相手にあなたのリクエストを具体的に表現して、相手が答えてくれた時には「ありがとう」とか「お疲れ様」と言ってみるのがお勧めです。

怒っている相手にお礼を言うのは腹が立つかもしれませんが、これからも関わらないといけない相手なら、あなたのリクエストに相手が正解解答をだしてくれた時にお礼を言って、リクエストに正解したことを伝えておけば、これからの人間関係に役立ちます。

相手は、あなたの思考をインプットしてくれますので、あなたがイライラしたり、感情を害したり、傷ついたりせずに、心穏やかに過ごせるのです。

怒りは、あなたにとってストレスにしかなりません。

あなたにとっては百害あって一利無しです。

体調を害してまで、相手を屈服させる必要は無いのです。

負けるが勝ちの思考で、相手を受け入れてあげましょう。

心の沸点が高い人の方が、相手にあなたの思考を肯定してもらい安く、あなたの人生においても得なことが多いのです。

だから、怒りを感じたら、まずはゆっくりと息を吐きながら6秒待って、冷静になりましょう。

それから具体的なリクエストを出して、相手に行動を改めてもらうのがお勧めです。

怒りを上手にコントロールして、さらに怒りをマネジメントできる人は、人間関係を一層スムーズにできますよ。

作成者: kiriko

元社労士の主婦ライターです。 知識と経験を活かしてコラムを書き始めて10年になります。 いつも初心を忘れず、少しでも読者の皆様のお役に立てればと思いながら記事を書いています。 どうぞよろしくお願い申し上げます。