【終身の生命保険】は本当におトクなのか?終身以外のものと比べながら、徹底検証してみた。
生命保険は、人生で2番目に大きな買い物と言われます。
終身の生命保険であれば、毎月3万円以上の金額を40年近く払い続けるとしたら、総額で1,000万円を超えるのですから、確かに大きな買い物です。
しかし、最近は終身保険には加入しない人も増えてきています。
若いうちに加入するとトクだと言われている終身保険について、本当におトクなのかを徹底検証してみました。
若いサラリーマンの方で、保険会社のセールスに終身保険を勧められてどうしようかと迷っている人に、ぜひ読んでいただければと思います。
Contents
終身保険と定期保険
生命保険にはいろいろな種類のものがありますが、保険の期間という面で見ると、終身保険と定期保険があります。
終身保険
終身保険は、保険の保障が一生涯続くものを言います。
また、終身保険には、貯蓄性があります。
死亡した時には死亡保険金、解約した時には解約返戻金が支払われるなど、必ず何らかのお金が支払われる保険です。
保険の払込期間が終了したとしても、解約した場合は解約返戻金が支払われ、死亡した場合には死亡保険金が支払われます。
定期保険
保険としての効力は、あらかじめ契約した一定の期間のみ有効な保険です。
解約時に返戻金が出るものもありますが、多くの定期保険は掛け捨てになっていて、解約返戻金はありません。
終身保険のおトクなところ
保険金が必ず受け取れる
一生涯有効な生命保険で、死亡時に保険金が支払われるので、必ず保険金をもらうことができるというのが最大の特徴です。
保険料を払い終える年齢を決めることができ、生前に保険金を払い終えても保険は一生涯有効ですから、死亡時に必ず保険金を受け取れることになりまう。
貯蓄性がある
終身保険は貯蓄という面があります。
毎月保険金を払いながら貯金もしているというイメージです。
解約返戻金がある
契約開始とともに貯蓄が開始されるので、解約の時には必ず解約返戻金が発生します。
最初のうちは、貯蓄部分は少なく解約してもわずかな額しか戻ってきませんが、貯蓄部分は複利で運用されているので、一定以上の金額になると、急激に貯蓄部分の金額が多くなり、振り込んだ額より解約返戻金の方が高額になります。
保険料が一生変わらない
一生涯保険することを前提に保険システムが構築されているので、保険金額は一生涯変わりません。
若いうちに加入すればするほど、毎月の保険金額が安価になります。
相続対策になる
相続は、相続の権利人同士でいろいろな争いになることが多くありますが、保険金の場合、事前に保険金の受取人が指定され、指定された人以外は受け取ることができませんので、骨肉の争いを回避するのに役立ちます。
定期保険と比べた終身保険のメリット・デメリット
終身保険と定期保険と比べた場合、終身保険のメリット・デメリットはどんなものがあるでしょう。
メリット
解約返戻金がもらえる
終身保険は貯蓄性がある保険ですので、解約すると必ずお金が戻ってきますが、定期保険では、解約返戻金の契約がある保険を除き、解約しても解約返戻金を受け取ることはできません。
定期保険で解約返戻金がある場合でも、解約返戻金は払い込んだ額の全額が戻ってくることはありませんが、終身保険の場合、加入期間が長くなればなるほど解約返戻金が多くなり、支払った保険料を超えることすらあります。
高齢でも生命保険の恩恵を受けることができる
多くの定期保険は、加入の上限年齢が70歳になっていますので、70歳を越えると生命保険に加入することができません。
それに比べて終身保険は、保険期間が終身ですから、死ぬまで生命保険に加入していることになります。
ただ70歳を超えて人が、生命保険に加入する意義って一体・・・
デメリット
保険内容に比べて保険料が高額
終身保険は死亡時に必ず保険金を受け取れるので、その金額を毎月貯めていくようなイメージです。
定期保険は、保険金を支払う条件に合致した人に対し、加入者全員が支払った保険料の中から保険金が支払われます。
例えばアクサダイレクトで終身保険と定期保険の保険料を同一条件で比較すると、その差額にびっくりします。
加入年齢30歳、死亡時の保険金1,000万円の場合の保険金額
- 定期 1,240円(10年契約)
- 終身 14,620円
差額はなんと13,380円!にもなります。
10年間の契約期間を70歳までの契約にした場合でも保険料は3,480円と、依然10,000円以上の開きがあります。
同じ保険で10年契約で更新し続けた場合の60歳の時の保険料が12,190円になり、30歳で終身保険を契約した時より安価にすみます。
終身保険の最大のメリットは相続対策になるということ
現時点で終身保険に加入する最大のメリットは、相続対策です。
終身保険は、厳密な意味では財産ではありませんが、みなし財産として取り扱われます。
相続税対策
終身保険は「500万円×相続人の数」の非課税枠が設けられています。
相続分割対策
相続の場合、法律で定められたとおり遺産を分割する必要がありますが、保険金は受取人が契約時に定められますので、生前に財産を渡したい人を指定して契約することにより、自分の希望した人に財産を分与することができます。
現金化対策
相続の多くを占めるのは不動産ですが、不動産はなかなか現金化できません。
相続税の支払いとか財産分与のために、財産はなるべく現金化しておく必要があります。
不動産は売却まで時間がかかることが多く現金化しにくいですが、死亡保険金は比較的短期間に受け取ることができるので、遺産を短期間で現金化できます。
終身の生命保険はおトクなの?
結局のところ終身保険はお得なのでしょうか。
どんな人にお得なの?
公務員などの安定した職場の人
公務員など将来に渡ってたてた自分の人生設計が変わることがほとんどない職業で、研修などの費用も職場が負担してくれる人は、終身保険はお得であるかもしれません。
最近は、大手企業であっても将来の人生設計を描きづらく、会社が潰れないまでも子会社への転籍などで、経済面で計画が大きく崩れる可能性は大いに考えられます。
そういったことに備え、現役時は、現金を貯蓄するよりも自分への投資を増やす方が、将来を考えた場合得策です。
今の少子化の日本では、何もせず時が経てば資産が増えることはなくなりました。
お金を増やすためには、自分に投資して自分の能力を高めることが一番です。
相続対策をしたい人
相続税対策や相続の受取人や現金化などの心配がある人は、何歳からでも終身保険に加入するメリットは大きいと思います。
相続税対策のために保険に入るのですから、手元資金はなるべく保険金として支払ってしまった方がいいわけです。
終身保険がお得じゃない人
サラリーマン
サラリーマンは入らない方がおトクです。
死亡などのいざという時のための準備日は、対策は、定期保険で十分です。
定期保険は年齢が高くなるほど加入時の保険額が高くなりますが、これはしょうがないことと諦めます。
終身保険は若い時に入れば保険額は安価ですが、それは長期にわたって保険に加入することになるからで、払っている合計金額はあまり代わりはありません。
特に結婚している人や子供がいる人は、自分に何かあった時の心配はあるでしょうから、そういう場合に備えた、定期保険に加入しましょう。
生命保険の他に各種医療保険や傷害保険など、自分の生活やライフプランに合わせて様々な保険に加入することができます。
まとめ
終身保険は本当におトクなのかについて、定期保険との比較も含めて検証してみました。
終身保険は、払込んだ保険額と確実にもらえる額だけを考えると、かなりおトクです。
しかし、金融商品として考えた場合、途中解約した場合に受け取ることができる金額は、払い込んだ金額を下回ることが多く解約しづらいことから、あまり魅力的ではありません。
終身保険は、長期間にわたり毎月それ相応のお金を支払うことになるので、ライフサイクルの変化が激しい20台後半から30台半ばのサラリーマンの方の加入は、慎重に考えた方がいいでしょう。