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「アパート経営はするな!」の書籍内容は本当か?失敗を防ぐために知っておくべきお話。

2011年に刊行された須田忠雄氏の「アパート経営はするな!―賃貸経営の落とし穴」は、当時人気だったアパート経営業界に大きな話題をもたらしました。

シニア層を中心に、不要人なった広い土地を有効活用し、子供や孫のために安定した収入を得ようとマンション経営に手を出す人が多い時代に、真っ向から反旗を翻した内容です。

リタイア後の収入源としてアパート経営を考えている人に、本書の内容が本当かどうかを検証し、アパート経営の実態について調べてみました。

 

本書の概要

本書の内容の概要は、従来のアパート経営の常識を大きく覆す内容ばかりです。

  • 東日本大地震から不動産投資は大きく変わる
  • 年金に相続税。不安心理につけこむ「賃貸経営」
  • 今からのアパート経営は必ず赤字経営になる
  • 「一括借り上げシステム」は家賃を保証するものではない
  • 土地は現金化し、使い果たす。これが究極の相続税対策です

2011年刊行

本書が刊行されたのが2011年です。

執筆はそれより少し前でしょうから、本書の内容はすでに8年くらい前の内容であると言えますので、内容的に少し古くなっているもの、執筆時点で予想した将来が外れているものなどが散見されます。

筆者の会社は中高住宅再生事業で急成長

著者が経営する会社は、競売物件をリフォームし低価各で販売・管理する「中古住宅再生事業」で急成長しました。

著者のこの経歴こそが本書のポイントの一つになります。

つまり、ローンを作ってまで新築アパート経営はするな、というメッセージです。

著者が行なっている中古住宅再生とは、中古のアパートを競売で安く買ってきて、それに付加価値をつけて売る、貸すという事業です。

中古住宅を購入する際には、その物件がとんでもない事故物件とたとえ安価でも売れないから、なぜオーナーがその住居を手放すことになったのかの理由を確認します。

中古住宅の中には、経営を失敗した新築アパートもたくさんあり、筆者は実際のアパート経営の失敗事例を多く知ることができる立場にあります。

そんな経験から、新築によるアパート経営の問題点についての知見を得たのでしょう。

自分は中古の競売物件で急成長していることから、新築でしかもローンを抱えてのアパート経営はやめたほうがいいという、自分の成功体験が執筆の動機として大きなウェイトを占めているのは間違いありません。

認識不足や古いデータも多いが本質は間違っていない

例えば賃貸住宅の5割は空室であるとの記述がありますが、正確には空室の5割が賃貸住宅であるということとや、高齢者専用賃貸住宅の供給が調子いいのもあと5年ほどと記述されていますが、いまだに高齢者用賃貸住宅は調子がいいなど、8年経って振り返って、筆者の見込みが間違っていた部分もあります。

しかし、それは枝葉末節の部分で、この本の本質である筆者の長年の経験から得られた、アパート経営はするなという考え方は、今まさに現実のものになっています。

 

本当にアパート経営はしない方がいいの?

実際のところ、この本のようにアパート経営はしない方がいいのでしょうか。

アパート経営をしている不動産会社は、アパート経営に失敗している人がいたとしてもそのことを伝えるわけはないので、実際に失敗している人がいるかどうかは噂に頼るしかありません。

噂は、特にネット上の噂は、尾ひれがついて広まってしまいます。

特に日本では、うまく言っている人は、妬みを受けることを嫌うために、うまく言っているといわない傾向が強いので、より真実を知る機会が少なくなる傾向にあります。

アパート経営はしない方がいい理由

では、本当にアパート経営はしないほうがいいのでしょうか。

本書で書かれている内容をもとに、アパート経営の状況について調べてみました。

やはり新築でアパート経営は特に避けた方がいい

本の著者も書いていますが、新築でしかもローンを抱えてのアパート経営は避けた方がいいでしょう。

新築が儲かるのは最初の数年だけ

新築物件は、最初の数年は新築効果で入居者も多いですが、数年たち新築の魅力が薄れると、新規入居者が少なくなってきます。

そうすると、不動産会社からリフォームをするように言われ、出費がかさむようになります。

不動産会社の言うことに従っていると、リフォームは蟻地獄のように抜け出せなくなり、ズルズル出費が増えていきます。

一括借上の甘い罠

アパート経営は、どんなアパートを建てるのか、集客や管理、退去も含めて不動産会社が一括で引き受けるという「一括借上」というケースがほとんどです。

この一括借上とは、アパートの部屋を全て不動産会社が借り上げ、集客、入居から退去までを全て不動産会社が代行するというものです。

不動産会社には、管理費として収入の10%〜20%の費用を払わなければなりませんが、それでも面倒な集客のための営業から事務処理、メンテナンス業者との調整などをしなくていいので、アパート経営者にはとてもありがたいサービスです。

空室を気にすることなく毎月賃料収入がもらえるのだから、こんなありがたい話はありません。

しかも、アパート経営上発生するさまざまなとらぶる、入居者同士のトラブルや退去問題など、素人ではとても対処できない問題も、まとめて対処してくれるのです。

しかし、この夢のようなサービス、実は裏があるんです。

契約期間がある

一括借上は、永久に続くのではなくて、一定期間ごとに契約を見直すようになっています。

契約見直しの時には、不動産会社がオーナーに支払う金額も見直しとなり、当然、新築の時よりその金額は下がります。

不動産会社が契約金額を見直すことができる

契約中であっても、一定でオーナーに支払われる金額を不動産屋が見直すことができ、金額が折り合わなかった場合は、不動産屋が契約を破棄することができるという契約内容になっています。

不動産会社は絶対損しないシステム

一括借上を宣伝文句にしている不動産会社は、不動産を所有していません。

入居者が少なくなったら一方的に契約を破棄することができるようになっています。

つまり、不動産会社は競争力がなくなったアパートとはさっさと縁を切ることができるという、不動産会社は全く損をしないシステムになっているのです。

不動産会社は、実は不動産を持っていないから負債は発生しようがないけど、オーナーは不動産とローンも抱えていて、家賃収入がなくなったら路頭に迷うだけどという、とても不平等な契約なのです。

不動産会社は、自分たちが儲からなくなったら一方的に契約を打ち切ることができますから、無理して古くなった物件の集客をする必要がありません。

入居者が増える努力はオーナーに負わせ、もしオーナーがそれを拒否したらおっぽり出すという構図で、実際にこれで苦労した人がたくさん居ます。

 

まとめ

空き室問題を避けかつアパート賃貸のさまざまなトラブルを一手に不動産会社が引き受けてくれる「一括借り上げ」という仕組みが一般的になってからは、だれもが土地さえあれば簡単にアパート経営ができるようになりました。

融資すら、不動産会社が銀行と話をつけて、簡単に受けられるようになっています。

しかし、世の中、簡単に儲けられることなどなく、うまい話には必ず裏があります。

土地があるからリタイア後はアパート経営を考えているというあなた、本書の内容は今でも有効ですから、しっかり読んで、アパート経営には絶対に手を出さないようにしましょう。

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かのっち

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大手企業の子会社で長年にわたり総務部員を務めてきた「何でも屋」です。事業の立ち上げからセクハラ・パワハラ対応、研修、人事考課、採用、パソコンからの情報漏洩処理・・・何でもやってきました。

今は過去の経験を生かし、個人や法人が向上するためのお手伝いをしています。

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