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【今が売り時?】郵政グループ株式の上場後の価値について考える

小泉純一郎元首相の肝いりで2006年に、公社から民営化された郵便事業。

持ち株会社の下に、日本郵政グループとして、郵便事業を扱う日本郵便、銀行業務を扱うゆうちょ銀行、保険事業を扱うかんぽ生命の3つの株式会社に別れています。

2015年に株式が上場され一般でも購入可能となりました。

公開じこそ高値をつけたものの、その後ジリジリと値を下げているのが現状です。

NTTにつぐ旧公社の株式上場と販売は、安定志向で公的組織が大好きな日本人に大いに受け初回売り出し時は高値で話題を呼びました。

日本郵政の株価は今後どうなるのでしょうか。今が売り時、それとも買い時なのでしょうか。

郵政グループ株式の上場後の価値について考えてみます。

 

郵便というお仕事

そもそも郵政事業は国が経営していたことを知る人は、今では少なくなりました。

郵便事業は、元々は国が経営する日本郵政公社が行っていました。

郵便事業における不採算の改善のための事業の効率化や、銀行事業での国債の引き受けによる公的事業への投資などの不採算な公的事業への出資などを改善するために、郵政事業は2006年に民営化されました。

郵政公社を3つの事業を分社し民営化

民営化にあたり、持ち株会社を設定し、郵便、銀行、保険事業をそれぞれ分社化して日本郵政グループを設立し、過去郵政公社が行なっていた事業は、完全独立することとなりました。

それぞれの事業の窓口は、従来と変わらず郵便局が行うことになりますが、郵便局での窓口は、それぞれ3事業はきっちり分かれています。

また、銀行や保険は、郵便事業が運営する郵便局を販売窓口としていることから、各事業は郵便事業に手数料を支払っています。

この支払い手数料は、現時点での郵便事業の大きな収益源となっています。

 

日本郵政グループの問題点

日本郵政グループのうち、特に郵便事業を扱う日本郵便の経営状態は、必ずしも好調とは言えない状況です。

社会的にインターネットが通信の主体となり、特に一般人では紙媒体での連絡という方法が廃れてきており、今後も郵便事業が好転することは考えにくい状況です。

郵便以外の事業では、ゆうパックブランドで宅配便を展開していますが、ヤマト運輸や佐川急便の後塵を拝すこととなっています。

先行2社の後塵を拝していた日本通運の宅配サービスであるペリカン便と統合することで宅配事業のテコ入れを図っています。

ただし、宅配事業についても、もともと採算が良くない会社同士の統合ということもあり、現状でもそれほど採算性が高いとは言えないのが現状です。

このように、日本郵政の本業の詳細性はあまり高くなく、今後、日本郵政の業績が好転する見込みがほとんどないのが現状です。

外国企業を買収するも損失を計上

こういった状況から、日本郵政は国内の郵便事業以外に活路を見出そうと、2015年オーストラリアの物流王手企業「トール・ホールディングス」を買収しました。

しかし、この企業もまた採算性が悪く、日本郵政の2017年度決算において、4,000億円もの特別損失を計上することとなりました。

残念ながら、日本郵政が取り組む事業は、八方塞がり状態となっています。

ゆうちょ銀行とかんぽ生命の状況は

日本郵政グループの郵便以外の2社、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の将来性はどうでしょうか。

日本郵政グループの収益の大半を占める

日本郵政の収益に占める割合の実に90%をゆうちょ銀行とかんぽ生命からの販売手数料で賄っています。

業績は横ばい

ゆうちょ銀行とかんぽ生命のうち、特にゆうちょ銀行は、国債の引受義務や公共工事への無理な貸付等も減り、事業は安定しています。

かんぽ生命も同様に、特段の大きく業績の上下する要素がなく安定しています。

これら金融2社からの販売手数料は、今後とも日本郵政の収益の大半を占めるはずです。

政府保有の日本郵政株のさらなる売却

東日本大震災への復興財源の一部として政府は、日本郵政株の売却を決めています。

最終的には、法律にも定められている33%まで政府の保有株式数を削減する予定になっています。

政府売却株式の一部は、日本郵政が自社株により引き受けることになっています。

日本政府の株式の大量売却も、日本郵政の価値が高ければ株価の上昇につながりますが、現時点における日本郵政の業績は、金融子会社2社からの手数料で成り立っている以上、日本郵政の価値はあまりないと言わざるを得ず、また、金融子会社の株を今後はさらに売却する必要があり、日本郵政が受け取ることができる販売手数料が減少する可能性が高く、さらに日本郵政の将来の業績について疑問が生じることになります。

したがって、株式を大量売却したとしても高値がつくどころか、現在の株化より下がってしまう可能性すらあります。

 

日本郵政株は今が売り時なのか

さて、日本郵政株は今が売り時なのでしょうか。

政府売却でも株化は下がらない

政府は、日本郵政民営化法案の規定に基づき、最終的には日本郵政の政府保有株式を全体の33%にまで下げる予定です。

日本郵政の売却株式は全て東日本大震災復興財源に充てられる予定なので、政府としても株式売却は待った無しの状況といえます。

日本郵政の業績自体はあまり芳しくないので、株式を売却したとしても、以前のような人気が出ることは考えられない状況です。

ただ、日本政府による復興財源確保の意味合いもあるので、特に機関投資家等がシビアに値引き攻勢をすることもあまり考えられません。

したがって、根が大きく上がることも考えられませんが、大きく下げることも考えられません。

高い配当率を維持できるかどうかがポイント

日本郵政は、金融子会社からの安定した販売手数料による実績を受け、配当を50円を維持しています。

現時点での最近の株価1,200円での配当率は4.1%となり、ほぼゼロ金利に近い銀行預金や国債の予定利率に比べると、かなり高い率となっています。

もし、政府による大量株式売却により一次的に株価が下がった場合は、この比率がさらに上がることになり、短期的な投資対象としてはかなり魅力的になります。

株価下落とともに大量購入する投資家も出てくることでしょう。

結論として、短期的には株価は下がらないと予想できます。

中期的には日本郵政が持つ不動産資産は魅力的

中期的には、日本郵政が持つ様々な資産は魅力的です。

金融2社の株式は、今後売却することになり、その結果金融2社からの販売手数料が減る可能性がありますが、その分、日本郵政が手にする株式売却益が増加することになり、その手元資金により新たな投資先を探すことができます。

また、日本郵政自体は郵便局が保有する土地・建物など2兆7,000億円程度の不動産を保有しています。

これら不動産の管理や遊休地などの活用などで、新たな事業を作れる可能性があります。

日本郵政は、不動産部門の強化を目論んで野村不動産ホールディングスの買収を検討したことがありましたが、価格の面で折り合わず断念したことがあり、不動産事業を主力事業として育てたい意向であることがわかります。

結論

現状での日本郵政は、本業における儲けが脆弱で企業価値は高くなく、株式配当率は良いものの、今後さらなる政府保有株の売却があることから株価下落要因があり、保有し続けることは冒険になるでしょう。

ただし、不動産部門は今後の柱となる可能性を秘めており、資産規模が大きいことから、この事業の状況次第では、大きく躍進する可能性を秘めていると言えます。

ズバリ、損にならないのならばいま日本郵政株を保有しているのなら売却でしょう。

もし、売却すると損が出るのなら、将来好転する可能性もないことはないので、じーっと我慢して保有するのもありです。

 

まとめ

日本郵政株が今が売り時かどうかについて、郵政グループ株式の上場後の価値を考えながら検討してみました。

政府系の企業の中では、あまり業績が良くないので、無理して購入したり保有したりするのは避けたほうが良さそうです。

高配当ではありますが、探せばこれぐらいの高配当の株式は他に安定した企業でありますので、配当狙いであったとしても、あえて日本郵政を狙う必要はないでしょう。

政府系企業だから安心という全くの根拠がない考えは捨てて、きちんと様々なデータで判断して株式投資をするようにしましょう。

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かのっち

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大手企業の子会社で長年にわたり総務部員を務めてきた「何でも屋」です。事業の立ち上げからセクハラ・パワハラ対応、研修、人事考課、採用、パソコンからの情報漏洩処理・・・何でもやってきました。

今は過去の経験を生かし、個人や法人が向上するためのお手伝いをしています。

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