40代の男性が「心の病」になりやすい仕事(職種)と、その対策法15選。
2017年の「メンタル・ヘルス研究所」調査の「心の病の年代別割合」は、以下の通りでした。
- 10代~20代 →27.9%
- 30代 →32.6%
- 40代 →35.8%
- 50代以上 →3.7%
今までは、30代は責任ある仕事を任され始めたのに、裁量権がなく、上司と部下の板挟みになってストレスが増すと考えられてきました。
しかし、今まで30代に多くみられた仕事の「‘責任と権限のアンバランス’が40代、10~20代にも広がったと考えられないだろうか」というのが同研究所の検証です。
これは、人材不足や非正規職員の増加によって生じた不景気社会ならではのストレスといっても良いでしょう。
そこで今回は、心の病になりやすい仕事(職種)とその対策についてご紹介していきます。
心の病は、一度かかってしまうと回復までが大変です。
そのため、この記事を読んで少しでも早い段階で対策をしておきましょう。
1.昨今の「心の病」になりやすい職種とその理由
以下のデータはアメリカのデータですが、人間として、ストレスを抱えやすい仕事がどういうものかを表しています。
ストレスがたまる職種 | ストレスがたまらない職種 | |
1位 | 下士官 | 大学教授 |
2位 | 将官 | 仕立屋 |
3位 | 消防士 | 医療情報技術者 |
4位 | 民間パイロット | 臨床検査技師 |
ストレスがたまる職種として下士官と将官という軍隊が1位2位を占めています。
軍隊の最下位の地位である下士官は、上からの締め付けが強過ぎるストレスであり、将官は軍隊の全責任を負うという責任の重圧から来るストレスでしょう。
消防士は命をかけて消火活動や人助けをする使命感によるストレスでしょう。
民間会社のパイロットは、乗客の命を預かって長時間飛行機を操縦するだけでなく、フライトのための神経質なほどの体調管理というストレスでしょう。
それに対し、ストレスのない職種として、大学教授や仕立屋が上位を占めています。
自分の好きなことに没頭でき、自由度が高い点で、その忙しさも苦にならない職種といえます。
以下の医療情報技術者や臨床検査技師が上がっていますが、アメリカでの医療は全て自費ですから、日本の同職種の忙しさとは比べものにならず、自分の仕事に自分のペースで没頭でき、人間関係に左右されない職種だといえるでしょう。
自分のしたことは自己責任になるだけで、自分の裁量で自由に仕事ができる自由度の高い仕事が最もストレスが少ない仕事といえるようです。
一方、極端に自由度がなかったり、他者の命を預かるような責任感の思い仕事は、非常にストレス度が高いといえるでしょう。
(2)日本の職種のストレス事情は?
しかし、日本におけるストレスが多い職種は、アメリカのそれとは大きく異なっています。
ストレスがたまりやすい職種とストレスがたまるだろうと思われている職種が大きく異なっているのに注目してください。
ストレスがたまりやすい職種 | ストレスがたまりそうな職種 | |
1位 | クリエイティブ職 | 営業・事務・企画 |
2位 | 公務員・教師 | サービス・販売 |
3位 | サービス、販売 | 公務員・教師 |
4位 | 技術系(電気・電子・機械) | |
5位 | 営業・事務・企画 | |
6位 | 専門職系(コンサルタント等) | |
7位 | 技術系(ソフトウェア・ネットワーク) |
日本では、昔から「ストレスは他人から受けるもの」であり、すなわち人間関係によるものだといわれてきました。
だから、人間関係の衝突が起りそうな職種をストレスが多い職種だと思われてきたのです。
しかし、昨今は人間関係よりも、仕事への高いストレス、自分が自分を追い込むという自分へのストレスが多くなってきました。
その証拠に、一人で自由にできそうなクリエイティブ職が、最もストレスが高い職種という結果が出ています。
先に挙げたアメリカの統計結果によると、クリエイティブな仕事は、大学教授や仕立屋と並んで、自由度の高い仕事であり、ストレスが少ないはずです。
確かに、少し前の時代まで、クリエイティブ職は非常に自由度が高いからか、忙しいにも拘わらず、その職に就いている人たちは、あまり大きなストレスを抱えていませんでした。
実際に「ストレスがたまりそうな職種」の中にクリエイティブ職は上がっていません。
昨今の企業は、大卒を一から教育して成長させる新卒採用よりも、即戦力となる人材の中途採用を多く採用する企業が増加しています。
派遣や契約社員にも即戦力や高い技術を求め、仕事の成果が上げられないと契約を更新して貰えません。
このように、仕事の成果によっては、リストラされたり、契約を切られたりしかねない状態で仕事をする人が増えてきました。
そのため、本来自由度の高いはずの職業が、他人の命を預かるようなパイロットや消防士のような職種よりも断然ストレスが高いというのが、ストレスを抱え込む日本人ならではの現象かもしれません。
「仕事の質と給料が釣り合っていない」という現状も注目すべきです。
ストレスがたまる職種に医師や看護師・介護士等医療の職種が含まれていませんよね。
医療現場は、慢性的な人材不足であることは、今や常識です。
しかし、医師や看護師はその専門性に見合った高い給料が確保されています。
また、給料が少ないといわれている介護の現場でも、収入が低くて忙しいとわかっていながら、「人の役に立ちたい」「人を助けたい」といった使命に燃えた多くの若者たちが福祉の仕事に就きたいとがんばっています。
給料面や、使命感・充実感といった心の面でも、どちらかが満足していれば、忙しくても、質の高さを求められても、ストレス度は低いといえます。
満足感が高ければ、心の病になりにくいようです。
(3)労働安全衛生法のストレスチェック制度が正しく機能していない現状
いじめによる自殺、過剰労働による自殺、若い世代や働き盛りの世代に自殺者が増加したという現状を国が重く受け止め、国を上げてストレスに関して対策するようになりました。
その対策として、労働安全衛生法が改善されて、ストレスチェック制度を具体的にその運用方法を明記し、企業に通達しました。
ストレスチェックは、毎年1回以上、社員全体にアンケートによるストレスチェックをさせ、各部署でひとりひとり面談によるストレスチェックも行います。
しかも、面談時の回答内容によるマイナス評価や不利益取り扱いは法律で禁止されています。
このように、会社としてひとりひとりの社員の心の状態を把握し、適切な処置をしなければならないシステムになっています。
メンタルヘルス研究所の調査によると、会社のストレスチェックの実施状況は、90%にも及び、多くの会社がストレスチェック制度を取り入れていることがわかっています。
ところが同調査で、多くの会社で毎年ストレスチェックが行われているにも拘わらず、6割もの会社で、その対策が行われていないというデータも上がっています。
その理由は、その集計結果を人事総務は、各部署の部長・取締役等の管理職に伝えて適切な対処をするように伝えていますが、現場は、「適切な対処をすると現場が回らなくなる」というジレンマを抱えているからではないでしょうか。
仕事がきつい、残業が多いというストレス次項の対処法は、仕事を減らして、残業を少なくすれば良いのですが、そうすれば仕事が終わらず、会社に損失が生じてしまいます。
各部署の課長以下の管理職は、上から利益や結果を出さなければ自分の査定に響きますので、どうにもならないまま、現場には、その情報さえ伝えられていない状況となっている会社もあると聞きます。
また、人事や部長以上の管理職は、現場の現状を把握しにくい状況にあるからだという会社もあります。
このような様々な事情から、労働安全衛生法の改訂までして行った、国を挙げての大がかりなストレスチェック制度は、健康管理室や人事・総務の資料となり、問題が起きたときの労災や休暇申請の参考資料となっている企業も多いという現状もあるのです。
昨今の不景気のため、非正規労働者や権限のないベテラン社員が増加しています。
そのため、「自分だけが権利を主張すると、不利益な取り扱いやマイナス評価をされてしまうかもしれない」という仕事を失う恐怖を感じながら、我慢してしまう傾向にあります。
アメリカのような国民性なら、このような心の病を患ってしまうほどのストレスに発展しないかもしれないと筆者は思います。
しかし、日本の国民性を嘆いていても何も変わらないので、現場でストレス環境が改善されないなら、自分で自分の身を守らないといけません。
では、次はそのストレスを少しでも緩和して、幸せな心理状態を確保して仕事も頑張れるという、さまざまなストレス発散法をご紹介しましょう。
2.おすすめストレスの発散法15選
(1)ストレスを書き出す
ストレスを感じた時の環境と自分がどう対処したかを書き出しましょう。
ストレスを感じた時に、何も対策をしないままストレスを抱え込んでしまうから、心の病になってしまうのです。
書き出すことによって、自分の思考パターンを認識し、ストレスがたまる思考パターンを改善する事で、ストレスを減少させることができます。
これを認知療法といいます。
少しだけ考え方を変えるだけでも、思った以上に周囲の景色が変わってくることが多いのです。
そうは言っても、感受性の強い人は、安宅で考える前に心で感じたまま思考が発展してしまって、無意識にストレスを感じてしまう人もいます。
そのような人のために、別の方法も紹介しましょう。
(2)休憩時間に短時間でも寝る
要するに、「ふて寝」です。
この記事では、会社なので「うたた寝」と表現しておきます。
30分以内の短い睡眠、うたた寝は、けっこう深い睡眠(ノンレム睡眠)なのです。
ノンレム睡眠中には、脳も完全に休息しますので、脳内の不要物質はきれいにお掃除されます。
ストレスによって分泌されたストレスホルモンも、脳内の不要物質なので、お掃除されてしまいますので、目が覚めたら気分がスッキリしている事が多いのです。
寝る前にコーヒーを飲んでおくと、うたた寝後、頭がスッキリしてお勧めですよ。
「カフェインを採ると眠れなくなる」といわれていますが、カフェインの効果は飲んで30分ほどして効果が出るといわれていますので、うたた寝中にはカフェイン効果は現れず、30分後に起きたとき、ちょうどカフェインの効果が現れてきます。
うたた寝にピッタリです。
コーヒーが苦手な人は、お茶や紅茶でも同じカフェイン作用が期待できますのでご安心ください。
(3)身体を大きく動かす
身体を大きく動かすと、リラックス効果が現れます。
ストレスによって生じた筋肉の緊張状態から解放されます。
その結果、交感神経が副交感神経に切り替わって、リラックスできます。
バンザイをして後ろに身体を反らしたり、ラジオ体操をしてみたり、肩や腰、膝関節といった大きな関節を大きく動かすと効果的です。
(4)口角を上げてみる
男性が口角を上げて意味も無く笑っている姿を周囲に見られるのは恥ずかしいかもしれないので、人のいない所やトイレに行って、無理矢理にでも「笑顔」になってみましょう。
人は、嬉しいことがあると笑顔になり、脳は幸せホルモン(セロトニン)を分泌します。
ところが、嬉しいことが何もなくても、笑顔を作ると、表情筋の動きから、脳は「嬉しいと感じている!?」と勘違いして、大慌てて幸せホルモンを分泌します。
これは本能的な反射作用です。
人は、ストレスを感じた時、ストレスホルモンを分泌するのですが、このストレスホルモンは、幸せホルモンと合体して中和され、消去されます。
ストレスホルモンが消えると、ストレスを感じなくなりますので、うたた寝時、ストレスホルモンが消去されてストレスが緩和するのと同じ状況となります。
だから、ストレスを感じたと思ったら、両手を口角に当てて、「ニコッ」と呟きながら口角を上げてみましょう。
自然と笑顔になれますよ。
(5)自分を抱きしめてみる
泣いているときや悲しいとき、辛いとき、愛する人や心を許した人に抱きしめられると、心が落ち着いたことがありませんか?
恋人に抱きしめてもらうのが一番効果的なのですが、誰もいないときは、両手を交差させて自分を思いっきり抱きしめてあげましょう。
「がんばった!」とか「えらいぞ!」とか、自分を誉める言葉を心で唱えながら抱きしめてみてください。
自分は、自分が一番心を許した人です。
ここでも脳が抱きしめられたように勘違いして、オキシトシンを分泌して、心が落ち着きます。
オキシトシンは、愛する人に抱きしめられたときに分泌されるホルモンなので、自分で自分を抱きしめたときにも脳内では同じ効果があるということです。
抱き枕に抱きつくのでも同じ効果があります。
時間としては、約30秒位が効果的です。
長ければ長いほど癒し効果は大きくなります。
(6)アロマの香りを嗅ぐ
自分が好きなアロマの香りは、臭覚を刺激します。
人の五感の中で、臭覚情報が最も本能的です。
臭覚は、大脳辺縁系の本能を司る情動脳の部分を直接刺激し、大脳辺縁系の中にある脳の感情を引き起こす「扁桃体」、記憶中枢を司る「海馬」という部分に直接に働きかけます。
好きか嫌いか、心地よいか、不快か、何も考えずに感情に直結します。
臭覚は生死を司る無意識行動を引き起こす本能に最も近い感覚なのです。
そのため、ストレスで嫌な思いをしていても、心地よいアロマの香りを嗅ぐことで、癒し効果が高まります。
ストレス感情よりも、香りによって引き起こされた本能的な快い気持ち、嬉しい気持ちが勝ってしまうというわけです。
(7) ヒーリングミュージックを聴いてみる
ヒーリングミュージックは、心を落ち着かせます。
中でも、セロトニンを増加させる音楽を選びましょう。
幸せホルモンは、全身をリラックスさせるだけでなく、ストレスホルモンと合体して「中和→消去」してくれますので、ストレス解消に効果的です。
(8)瞑想する
目をつぶって鼻で息を吸って、ゆっくりと長く息を吐きます。
お腹と背中がくっつくくらい、長めに息をゆっくりと吐くのがお勧めです。
ただし、苦しくなりすぎないように気をつけてくださいね。
これを3回ほど行うと、心が真っ白になって雑念が消える効果が高いんですよ。
頭を真っ白にして、自分が成功したり、嬉しくなるようなことを想像したりしましょう。
上書き効果があって、ストレス解消に一層役立ちます。
(9)紙にストレスを書き殴る
(1)に上げたストレス状況を紙に書く「認知療法」とは少し違います。
紙に今思っている不満や悪口、叫びたくなるような気持ち、全てを書き殴ってみましょう。山の頂上や夕日に向かって叫ぶ気分で、どんな汚い言葉でも、悪口でも何でも、とにかく大きな文字で書き殴って、書いた後は、思いっきり破って捨ててしまいます。
ストレスの元兇も一緒に破って捨ててしまったような気分になります。
(10)マッサージを受けて身体から癒されてみる
身体の筋肉のコリがほぐされると、自律神経が副交感神経に切り替わります。
無理矢理笑顔を作ったときと同じ効果が脳内で起ります。
幸せホルモンが多量に分泌され、ストレスを消去してくれるのです。
ストレスがとくに強いときは、頭皮マッサージもお勧めです。
脳の頭皮が緊張してしまうほどのストレスは、なかなか取れにくいので、頭皮マッサージで強制除去してしまいましょう。
血行が良くなって、頭に冷や水を浴びせられたように、スーッとした爽快感が味わえれば効果が現れた証拠です。
(11)独りカラオケに行ってみる
カラオケで大きな声で歌うことは、ストレス発散に効果的です。
静かな歌よりも、大声で歌得る歌がお勧めです。
だから、アカペラもお勧めです。
脳内が真っ白になってストレスが効果的に発散されます。
独りカラオケは、他人を気にせず歌いまくれますので効果抜群です。
(12)悲しい映画を見て泣いてみる
涙を流すとストレスが緩和される事は医学的に証明されています。
数分間泣くだけで、1週間分のストレスが解消されるというデータもあります。
ストレスが蓄積すると、交感神経が優位になり放しで、自律神経が乱れてしまうこともあり、身体には悪影響ばかりです。
ところが、涙によって交感神経を強制的に副交感神経に切り替えることができるのです。
「涙活」という財団法人が行っている活動もあるくらいです。
(13)趣味等何かに没頭する
趣味に没頭する事で、嫌なことを忘れ、楽しい気分になることができます。
趣味だけでなく、何かに没頭することでも、ストレスを発散できます。
大掃除や鍋を磨く、部屋の模様替え等も効果的です。
没頭して頭を真っ白にした後、部屋や物がきれいになったり、部屋の雰囲気が変わったりすることで、視覚から味わう充実感で、心の状態を切り替えやすくなるのです。
(14)有酸素運動をする
有酸素運動をしている間は、何も考えない状態になりやすいので、汗をかいてストレスを発散しましょう。
(15)親しい人とおしゃべりをする
親しい人と話す楽しい時間や、愚痴を聞いてもらうのもストレス発散に効果的です。
ただし、やけ酒を兼ねたおしゃべりは、悪酔いして、体調が悪くなって、ストレスを増大させてしまうこともありますので気をつけましょう。
まとめ
いかがでしたか?
40代は身体も様々な成人病にかかりやすい年代ですから、ストレスフリーな幸せな環境で、人生をハッピーにしましょう。
企業が何もしてくれないなら、自分の身は自分で守るしかないのです。
先に紹介した15のストレス発散法から自分に合ったストレス解消法を見つけて、ストレスをお上手に発散しましょう。
「健康な精神は健康な身体に宿る」ともいわれていますので、身体を労り、規則正しい生活に、バランスのとれた食生活、適度な運動をして、良質な睡眠をとる生活を行いましょう。
適度なお酒を飲むのもストレス発散に効果的ですが、寝る前の飲酒は眠りに悪影響を与えてしまいますので控えましょう。
また、ストレスが強いときは適度なお酒でも悪酔いになることもありますので、気をつけましょう。
幸せな生活環境と健康的で、ストレスに強い精神づくりを心がけて、ストレス社会を上手に乗り切りましょう。
【参考】
※第8回 『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結|公益財団法人日本生産性本部(PDF)
※ストレスがたまる業界・職種ランキング|就職・転職情報ナビ
※The 10 Most Stressful Jobs of 2013|CAREER CAST
※The 10 Least Stressful Jobs of 2013|CAREER CAST
※改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針|厚生労働省