【祝!昇進】デキる部下を育てるために必要な「上司の心得5箇条」

デキる上司は、能力の高い部下を多く持った人です。

そうは言っても、能力の高い部下をより集めたわけではありませんので、その上司の下で働くと、部下の能力が上がるということです。

部下の能力が高くなると、その部署自体の成績がアップして、上司も「祝!昇進」となるわけです。

そこで今回は、デキる部下を育てる「上司の心得5箇条」をご紹介しましょう。

 

上司の心得その1|「がんばっていれば評価される」ムードを作ろう!

(1)二宮尊徳(二宮金治郎)の「小を積めば大になる」精神を学ぼう

江戸末期に生きた二宮金治郎は、薪を背負って勉強している幼少期の勤勉さが有名ですが、実は、農村復興政策の達人「二宮尊徳」としも名を残しているのです。

[surfing_su_box_ex title=”「二宮尊徳(二宮金次郎)の名言集」のひとつ” class=”大事を成さんと欲する者は、まず小事を務むべし。 大事を成さんと欲して小事を怠り、その成り難きを憂いて、成り易きを務めざる者は、小人の常なり。 それ小を積めば大となる。”]大事を成さんと欲する者は、まず小事を務むべし。 大事を成さんと欲して小事を怠り、その成り難きを憂いて、成り易きを務めざる者は、小人の常なり。 それ小を積めば大となる。

「二宮尊徳(二宮金次郎)の名言集」より[/surfing_su_box_ex]

彼の指導方針は、「私利私欲に走るのではなく、真面目に誠実に小さな事からコツコツと行っていれば、大成功を収めることができる」というものでした。

こんな逸話があります。

農村復興の時に、二宮尊徳は良い働きをした者には報奨金を出していました。

その村には、年老いて大して役に立たない老人がいたのですが、その老人は、いつもただひたすらにコツコツと穴を掘って、切り株をひとつずつ取り除いていました。

大きな切り株を取り除く仕事は、誰もやりたがらない骨の折れる仕事なのに、誰の目にも留まりにくい仕事です。

それなのに、農地を耕した成果はゼロなのです。

ところが、二宮尊徳は、鍬や鎌を持って農地をたくさん耕した若者よりも、この年老いた老人を表彰し、15両もの報奨金を与えたのです。

二宮尊徳の考えは、「この老人のお陰で、切り株がなくなったので、耕すことができる農地が広がったのだから、最も讃えられるべきだ」というものでした。

周囲もその老人自身も、この説には驚きましたが、そのお陰で力のある若者が、どんどん切り株を掘り起こしていきました。

それこそ老人の何倍ものスピードで掘り起こしては取り除き、どんどん農地が広がっていったそうです。

 (2)縁の下の力持ち的部下も評価しよう

縁の下の力持ち的な立ち位置にいる人の作業は、絶対に必要です。

二宮尊徳の逸話でいうと、切り株を取り除いた老人のような人です。

そういう人がいるから評価を上げることができる人たちも多いのです。

それなのに、縁の下の力持ち的な立ち位置の人は誰からも評価されず、それどころか、当てにされなかったり、バカにされたり、本人でさえ自分の評価を低く見ていることが多いのです。

そんな彼らを上司が率先して評価することで、部下達の彼らに対する評価も変わってきます。

実は、縁の下の力持ち的な人たちこそ、小さな情報をたくさん持っていることが多いのです。

それが大きなプロジェクトの突破口になるということに、彼らは気付いていないだけです。

もしも気付いたとしても、その思いつきが正しいかどうかの自信もありません。

だから、彼らはアイデアを思いついても、それを声に出して発表することなんてしません。

しかし、彼らがその思いつきを声に出せるムードを作っておけば、その声を集めて、あとは上司が、バラバラの情報を点と点を線につなげるうようにして、素晴らしい仕事のアイデアに辿り着くことができます。

だから優秀な上司は、そういう目立たないところでがんばっている人達の声さえも拾うことができる人なのです。

それは、江戸末期に生きた二宮尊徳が証明しています。

だから、出世したいなら、二宮尊徳を見習って、目立たない部下の仕事ぶりもしっかりと見て評価する事のできる人間になりましょう。

「自分たちの働きを正しく評価してくれる!」と思える上司を、部下達は信頼します。

 

上司の心得その2|部下の話を聞こう

(1)名を残す大企業の創設者は人の話をよく聞く

松下幸之助は、明治時代男性にしては珍しく、会社であった事を妻むめのさんに全て話し、むめのさんの意見を素直に聞いた人でした。

会社の部下の話にも非常によく耳を傾けていました。

さらに、こんな逸話もあります。

昭和28年、ビクターの経営が傾いたとき、ビクター創設者の切実な声にも耳を傾け、ビクターの債務を全額肩代わりしました。

松下幸之助には、戦後の不況の中、「あの犬のマークの暖簾がなくなるのは惜しい」とビクターの会社のロゴとその音響技術を評価する心の余裕があったのです。

しかも、ビクターの負債を全額肩代わりしたにも拘わらず、松下電器(現パナソニック)の子会社としてではなく、松下電気産業とビクターとの対等立場での合併としました。

ビクターの社員である研究員と松下電器の研究員が対等な立場でなければ、ビクターの社員の意見が社内で取り上げられず、松下電器産業の研究員との技術の競合や発展に繋がらない、と松下幸之助は考えたからです。

その結果、松下電器はさらに大きく成長し、今のパナソニックがあります。

(2)部下の話をよく聞いていれば良いアイデアも浮かぶ

経験の浅い部下は気付かなくても、多くの部下の話を集約すれば、何かの突破口が見つかることがあります。

また、部下に考えさせることは部下の成長にも繋がります。

よくテレビドラマで、部下の才能に嫉妬して部下の足を引っ張ったり、部下を潰したりする先輩や上司が登場します。

そんな時、「部下のアイデアを評価して、取り上げることで、部の功績にしてしまえば、それはそのまま上司の評価になるのに」と筆者は思います。

会社の仕事はチームです。

部下の功績はそのまま上司の功績となるのです。

なんたって、その部下の案を取り上げたのは上司なのですから。

また、上司が部下の案を正当に評価して取り上げてくれたら、その部署全体のモチベーションも上がります。

(3)部下の能力を認め引き上げる上司は自分の評価も上げる

一人の能力や才能、努力だけでは、ある程度までは出世できたとしても、一人の力ではたかがしれています。

所詮最後は、「この人のためなら」と支えてくれる「人望」のない人は1位にはなれないということです。

足の引っ張り合いはどこに行ってもあります。

出る杭は打たれるのが宿命です。

そんな出世競争を上手に勝ちにいて行くには、上司にも部下にも好かれる人望あってこそです。

また、「情報は身を助く」ともいいます。

「天は自ら助く者を助く」という諺もあります。

「コツコツ自分の仕事を無心に努力していれば、誰の足を引っ張らなくても、天(神様)があなたを引き上げてくれる(評価してくれる)」という意味です。

天の評価は、直接的に、あるいは間接的に、必ず誰か人の手を借りて行われます。

そのためにも、人の話に耳を傾ける事は自分を助けるのです。

だからでしょうか?

過去の大企業のどの創設者の逸話にも、共通して優秀な部下や仲間の話が出てきます。

頂点を極めるように出世していく上司とは、必ず仕事のデキる部下や仲間に囲まれているものなのです。

「この人についていこう!」

そう思わせる上司についている部下は、上司のために切磋琢磨し、上司の引き上げもあって、自分の仕事の能力も上げていくのです。

そんな部下の協力があって、上司も出世していけるのです。

では、どんな上司に、部下はついていきたくなるのでしょう?

人望や人脈づくりの一番手っ取り早い方法をご紹介しましょう。

 

上司の心得3|小さな気遣いと感謝の言葉だけで部下は上司に惹かれる

(1)相手への気遣いとお礼の言葉には人を動かす力がある

給湯室で20代前半の若い女性が話していたのを小耳に挟んだのですが、お茶を入れたとき、頼まれていたコピーをしたり資料を作ったとき、上司が「ありがとう」と言ってくれる、というのです。

この上司、業界では「雲の上の人」と呼ばれる人物で、もうお亡くなりになっているのですが、宮内庁主催の春の園遊会に招待される勲章受章者にもなった実力者です。

そんなに出世するとは、当時40代だったその上司自身はまだ知りません。

それはさておき、その上司、部下に仕事を頼むとき、「今、手空いてる?」と必ず聞いていたそうです。

そんな時は、その上司からは、決まって急ぎの仕事を頼まれることが多かったそうです。

そうとわかっていても、部下達はみんな「どんなに忙しくても、その上司の仕事を他の仕事よりも優先順位を上げてしてあげたくなってしまう」のだそうです。

そして、できあがった書類等を持っていくと、上司は「ありがとう」と言ってくれるそうです。

でも、その上司が言っていることは、何も特別なことではなく、普通のですよね。

ところが、部下の都合を一切考えずに、「これやっといて」て無造作に頼まれる事が多い中、この上司の「ありがとう」と「今、手空いてる?」はポイント高いのだとか。

こんな些細な言葉がその上司の人気を上げているなんて、その上司自身、全く思っていないでしょう。

「普通の気遣いや挨拶ができる」、これだけで、人を動かせる人脈となるのです。

(2)小さな気遣いができる上司が得をする理由とは?

先ほど松下幸之助さんの話をしましたが、明治時代の男性の彼が、妻のむめのさんの意見を素直に聞くのは、当時の男性としては非常に珍しい事でした。

当時の一般常識では、「女の言葉に左右されたり、相談したりするなんて、男のこけんに関わる」なんて女性蔑視が当たり前の時代だったのです。

そんな時代に、大企業の創設者の方々は、「奥様の縁の下の力あってこそ」という人が、実は多いのです。

奥様達は、夫(男性)のプライドを傷つけないよう、上手に賢く見守っていたのです。

「難しいことはわかりませんが~」と控えめに意見を呟いていた、というわけです。

時代を経て、昭和になって、男女平等が叫ばれ、女性に選挙権が与えられ、男女雇用均等法も成立しました。

女性の社会進出も叫ばれ、当時、皇太子妃の雅子様が、「外交官試験に男性を抜いて1位合格をした」という話が、女性の社会進出の背中を押していた時代です。

そんな時代ですから、まだ女性は良妻賢母、専業主婦の方がほとんどで、奥様達は、人間関係を通じて夫の仕事に役立っていました。

昭和の時代は今と違って、上司の家に新年のご挨拶に行ったり、上司の家に招かれたり、ホームパーティをしたり、上司が家庭で部下を労うなんてお付き合いが多かったのです。

そんな時に、奥様が大活躍をして、奥様の人気が上がれば、必然的に夫である上司のお株も上がるというわけです。

会社で怖い上司が、家庭で見せる「ご家族に向ける笑顔や仕草」が上司の会社でのマイナスイメージを一気に打ち消してしまいます。

そうやって、明治~昭和の時代の奥様方は夫の不器用さをカバーし、夫を出世させてきたのです。

しかし、平成になって、プライバシー保護法ができ、お中元やお歳暮や年賀状さえもなくなってしまいました。

昨今は、上司の家に新年のご挨拶に行くこともタブーな時代です。

だから、奥様が夫のフォローをすることもなくなりました。

しかし、昭和40年代生まれの「男子厨房に入らず」の教育を受けた40代~50代の上司が、女性がやるべきだと言われて育った「気遣い」を自分でやるのは至難の業です。

この世代の男性は、思っていても言葉にならない、優しい人は行動で現れるのみの人が多いのです。

「間違ったら謝る」こんな当たり前の事も、男のプライドが邪魔してできない世代です。

だから、「今手空いてる?」「忙しいところ悪いんだけど…」「ありがとう」といった、こんな当たり前の言葉が、すらすらと出てくる男性は、他の上司と差別化され、部下を労ってくれる上司と評価されやすいのです。

「悪かったね」と言えるだけで、評価が高いでしょう。

平成生まれの人には、理解できないかもしれませんね。

 

上司の心得4|自分の20代~30代と今の若者を比べるのはやめよう

(1)上司の若い頃の好景気時代と現代は違う事を理解しよう

今、40代~50代の上司が、20代の未熟だった時代には、今のようにマニュアルなんて無く、「先輩の仕事を見て覚えろ」という時代でした。

今の若者の新人教育のように、マニュアルを作って、手取り足取り教えてくれる先輩はいませんでした。

昨今の若者のように、セクシャルハラスメントの法律で守られていなかったので、理不尽なことも多かったと思います。

しかし、若者と40代以上の上司では、育ってきた環境が異なるのだということを認識しましょう。

40代以上の上司が、若者の思考が理解できないように、平成生まれの若者も、上司の主張する「普通」という常識が理解不能なのです。

今の40代以上の管理職達は、多くの競争相手と戦って、自分なりの方法で結果を出し、のし上がって役職を手に入れてきた達成感があります。

その達成感を今の若者に求めても、無理というものです。

40代以上の上司が、自分たちの若い時代の常識で仕事を語っても、若者と距離ができるばかりです。

(2)「自分の若い頃は~」という常識を捨てよう

40代の上司達の若い頃に学んだ仕事の常識は、今の20代~30代の若者には通用しません。

ちょっと注意すれば、パワハラ問題に発展し訴えられたり、部下に退職されてしまったりして、上司は監督責任問題を問われかねません。

このようなアウトプットの評価のために、部下に何も言えずに、仕事を任せる自信も報連相を義務づける人望も無い上司が増えてきました。

40代以上の上司達は、「自分たちと最近の若者とはわかり合えない」と諦めている人も多いでしょう。

部下との信頼関係ができていなくて、コミュニケーションも不十分ですから、部下に仕事を任せることができない上司も増え始めました。

でも、そう思って諦めてしまっては部下は育ちませんし、上司達の出世もそこまででしょう。

仕事のデキない部下ばかり抱えていては、上司の評価だって問題視されてしまうからです。

上司は、「自分たちと最近の若者とはわかり合えない」と諦めるのではなく、自分たちが若かったときと、現代の若者との仕事へのモチベーションや夢の持ち方の違いを探すのはやめましょう。

そんな先入観を捨てて、部下の良いところを探すように心がけるのです。

世代の違いはあっても、夢を抱き、仕事をしたい気持ちは同じはずです。

今の若い世代は、バブルの時代と違って、超氷河期時代の不景気を幼い頃から味わってきたのです。

だから、バブルの時代のような好景気を知りません。

子供の頃から、両親の節約や倹約で、たくさんのことを諦めてきた世代だということを認識しましょう。

大学時代も、遊びもせず、生活費のためのバイトや、就職のためのボランティアに勤しみ、「遊びの中で学ぶ」ということをしてきていない世代です。

就職の面接でも、学生時代に勉強一筋だったり、ただ遊んでいたのでは就職できないのだそうです。

大学は、人間関係を学ぶ所、一生の友を作る所、勉強する所、という40代以上の上司達の常識は就職の面接で、もはや通用しません。

そういう採用システムを作ったのも、40代以上の人事のはずです。

自分たちの入社面接とは、まったく異なっていることを知っていて、自分たちの常識を昨今の若者に求めるなんておかしな話です。

そう思って若者を見ると、若者の心の声が聞こえてくるかもしれません。

育ってきた環境が違うのだと割り切って、わからないときは、自分の価値観を押しつけるのではなく「どうしてそう思うの?」とか「なぜそういう判断をしたの?」と質問してみましょう。

 

上司の心得5|部下の指導は一人称会話でしよう

(1)一人称会話とは?

「一人称会話」とは、「I」を主語にする会話です。

例えば部下を叱責するときに

A「山田、頼んだ仕事がまだできないのか?山田はやる気があるのか?」

というのと、

B「山田、頼んだ仕事、(私は)そろそろできあがる頃じゃ無いかと思うのだが、どうだ?」

とは、印象が全く違います。

山田さんの仕事の能力を伸ばすのは、Bの方です。

Aの主語は、「山田は(You)」となり、二人称です。

Bの主語は、「(私は)」となり、一人称です。

二人称の問いかけでは、「すみません」としか言いようがありません。

(2)二人称会話は「切り捨て会話」になりがち?

Aのような質問の仕方では、反論が一切できずに、言い捨てるだけになってしまいます。

このような相手に有無を言わせない避難言葉を言い捨てることを、「切り捨て会話」と筆者は呼んでいます。

Aでは、山田さんの事情や理由も聞けないまま、完全否定です。

山田さんに、一切の言い訳するチャンスを切り捨てています。

もしかしたら、上司の指示が悪かったのかもしれません。

それでも、山田さんは何も言えないことになります。

もしも、上司の指示が悪いのが部下の仕事の進捗を遅らせているなら、上司はその点を改めなければなりません。

上司の方は、自分の欠点に気付く機会を自分から切り捨てているのです。

だから、双方ともチャンスを「切り捨てる」ので、「切り捨て会話」です

一方Bなら、山田さんは「もう少しです」とか「○○までにできあがります」といった回答が返ってきやすいでしょう。

上司の方も、山田さんの作業の進捗状況を聞きやすく、山田さんの苦手な事や、その理由を把握する事ができます。

だから、部下を注意するときは、二人称の切り捨て会話ではなく、一人称の疑問形がお勧めなのです。

まとめ

いかがでしたか?

平成時代の若者は、誉められて伸びるタイプが多いですよ。

だからといって、自分のキャラクターにないゴマすりは逆効果です。

上手な誉め方は、部下のモチベーションを上げるために、部下の良いところを探して、頑張っている人は、しっかりと評価してあげればいいのです。

「お疲れ様」とか「よく頑張ったな」とか「○○さんのお陰で助かったよ」とかだけで良いのです。

間違っても「今の若いのは~」という先入観を持つのだけは避けましょう。

部下に対しては、上司は断然権力が大きいのですから、自分の価値観の押しつけは、パワハラにしかなりません。

その結果、上司はパワハラ問題を恐れて部下に何も言えなくなり、部下は上司の軽口でパワハラの犠牲者になってしまうなんて、お互い苦痛でしかありません。

これではお互いの心の溝がひらくばかりです。

上司の心得5つを騙されたと思って試してみて下さい。

ただし、自分のキャラクターの許容範囲で部下とのコミュニケーションをとる一手段として試みる程度で始めてくださいね。

最近の若者は、思った以上に現実的で頼りになりますよ!

作成者: kiriko

元社労士の主婦ライターです。 知識と経験を活かしてコラムを書き始めて10年になります。 いつも初心を忘れず、少しでも読者の皆様のお役に立てればと思いながら記事を書いています。 どうぞよろしくお願い申し上げます。