【株式市場の不思議】業績不振でもマクドナルドの株価が下がらなかった理由を徹底考察
日本マクドナルドは2015〜16年に、深刻な業績不信に陥りました。
しかし株価は、その間も下落することなく、逆に上昇することすらあったのです。
なぜ、業績不信にも関わらずマクドナルドの株価は下落しなかったのでしょうか。
この理由を調べると、日本における株式投資の面白さがわかってきます。
マクドナルドの株価から見る、株式市場の不思議さについてまとめましたので、ぜひあなたの株式投資の参考にしていただければと思います。
因みに、マクドナルドは2017年以降急速に業績を回復していて、今はアベノミクス効果もあり、株価は業績不振時の倍近くにまでなっています。
Contents
マクドナルドの業績不信とは
日本マクドナルドは2015年12月決算で、上場以来最悪の赤字を計上することとなりました。
マクドナルドの業績不信と不信からの脱却について簡単にまとめると以下のとおりです。
1971年に藤田商店の子会社として発足
日本マクドナルドは当初、1971年に初代社長の藤田田氏の経営する藤田商店の子会社としてオープンしました。
藤田商店から米国主導の会社へ
藤田商店として行き詰まり2002年3月には藤田田しが経営の第一線から退き、7月には藤田商店から分割することを目的に持ち株会社の子会社として日本マクドナルドが誕生し、実質米国マクドナルドの参加になりました。
原田泳幸氏の光と影
米国マクドナルドの子会社として、原田泳幸氏を社長に招聘し、不採算店舗の廃止など様々な改革を行いましたが、原田氏の晩年にはメニューの廃止や60秒以内での商品の提供と言った新しい試みが逆に客離れを招き、売上単価の減少を招くこととな理、米国本社からカサノバ氏が社長として就任することとなりました。
米国主導の経営で危機を脱出
カサノバ氏が社長になった以降も低迷に歯止めがかからず、2015年12月期決算で上場以来最悪の赤字を計上することになりました。
その対応とし米国本社は、日本マクドナルド株の売却を決意したとすら当時は報道されていました。
結局のところ、藤田商店から日本マクドナルドに変更し原田氏を社長に招聘して出た成果は不採算店舗の閉鎖などの徹底した合理化策が中心であり新しい付加価値を生み出すことができていなかったことが、長期低迷を生み出す原因だったと言えます。
経営危機でも株価は安定
しかし、長期低迷にあっても、また、上場以来最大の赤字決算にも関わらず、日本マクドナルドの株価は下がることがありませんでした。
流石に、最悪の赤字と報道されてすぐは株価が下がることが見られましたが、それも一次的であり、アベノミクスとともに株価は上昇するようになりました。
2015年12が月には、業績の悪化が全世界のマクドナルドグループの業績の足を引っ張るとの懸念から、米国本社は日本マクドナルド株を売却し経営から手を引くことを検討していましたが、その後日本マクドナルドの業績はグループ全体の業績アップにつながるようになり、2017年には当分の間日本マクドナルド株は売却しないとのアナウンスがありました。
業績不振でも日本マクドナルドの株価が下がらなかった理由
では、なぜ日本マクドナルドの株価は、業績にも関わらずに下がらなかったのでしょうか。
これは、日本の株式市場の特殊性が、マクドナルドの株価維持に貢献したのです。
一般的に業績が悪いと株は売られ株価が下がる
上場企業の会社の業績が悪いと、通常は株価は下がります。
株を保有している人の多くは、配当金を目当てにしていますが、業績が悪いと配当金を当てにできなくなるので、保有株を売却してしまうからです。
個人株主は配当などを期待して株を長期保有する
株価に関係なく、個人株主は、株の保有を企業を応援したいからその株を保有することが多く、株化の一喜一憂して株を売却することはありません。
さすがに配当がなくなると個人投資家も株の売却を検討しますが、投資家のように市場の動向に敏感に反応し、リスクが顕在化する前に売却してしまうようなことはなく、リスクが自分たちの下部に対する価値判断を脅かすようになって初めて売却するようになります。
マクドナルドの株価が、業績悪化にも関わらず下がらなかったのは、個人投資家が多かったのが1番の理由です。
株主優待の魅力でマクドナルド株には個人投資家が多い
では、なぜマクドナルドの株は、個人が多く保有しているのでしょうか。
子供に大人気のマクドナルド
それは、日本の株市場の特有な慣行である「株主優待」が影響していると言われています。
マクドナルドを一番利用するのは家族連れです。
日曜日のマクドナルドは、家族連れで大にぎわい、ドライブスルーなどは、付近の道路の渋滞を巻き起こしているような状況です。
ドライブスルーは、雨の日でも雨に濡れることなく、子供の大好きな食べ物を調達できます。
ショッピングモールに出かけると、子供の世話とか余計なものを買わなきゃならないとか気分が休まらないけど、マクドナルドなら、車で出かけるだけで安価に食事を調達できるし、子供も他の商品に目移りする子がないので無駄な出費もなくなる、そんな感じです。
マクドナルドは、子供がいる家庭では大人気なのです。
株主優待で安価にマクドナルドを利用できる
マクドナルドは比較的安価なので家族連れに人気ですが、そんなにマクドナルドに行くのなら、なんらの方法でさらに安価にしようと考えるのは当然の話です。
そういった人たが目ををつけるのが、日本マクドナルドの株主優待制度です。
マクドナルドの株主優待は食事券
マクドナルドのハンバーガー、サイドメニュー、ドリンク類と引き換えることができるクーポン券が、それぞれにつき100株につき6枚もらえるようになっていて、10,000円程度の価値があると言われています。
もちろん、全国のマクドナルドで使用することができますから、よほど辺鄙なところに行かない限り、優待の恩恵を受けることができます。
株主優待のおかげでマクドナルドの株価は安定
株主優待目的で個人が株を購入すると、株を持っていることが目的なので、ちょっとやそっとの業績不振では株を売却しない傾向にあります。
個人株主の比率が多い
マクドナルド株の半数は米国マクドナルドが持っていますが、もう半分近くは個人投資家が持っています。
株式は東証一部ではなくJASDAQに上場されているので、機関投資家が手を出しにくくなっています。
現在のマクドナルド株は高止まりでオススメできない
残念ながら、アベノミクスの影響により、現在のマクドナルドの株価は2015年当時の株化に比べて倍以上で高止まりしていますので、株主優待目当てとしても注意が必要です。
2015年11月に3,000円の値をつけた株価は、現時点で2倍の6,000円の値をつけることもあります。
株主優待の価値は年間で10,000円程度、これに配当が一株30円で年間3,000円ですから、合計で13,000円程度の価値があります。
一株3,000円とした場合の利回りは4.3%となかなかの利回りですが、現時点では2.2%と、平凡な利回りになってしまいました。
それでも、銀行の普通預金に預けているよりはよほど高額ではありますが、現時点で高値どまりしている現状を考えると、売却時に損をする可能性があるので注意が必要です。
個人株主が多いことから株価が安定していますが、2015年当時より2倍の株価ですから、個人投資家であっても売却する可能性がないとは言えない状況です。
まとめ
日本マクドナルドが業績不振でも株価が下がらなかった理由についてまとめて見ました。
日本における株主優待制度が、株価安定に大きく寄与していることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
もしあなたが長期的に安全な株式を望んでおられるのなら、株主優待制度を判断材料にするのも一つの方法です。