株主優待券が実質タダ!?クロス取引の具体的な方法とは
近年ではアベノミクスによる株価の上昇などをきっかけに、株式投資を始める人の数が増えているようです。
株式投資といえば株価の上昇による売却益の獲得や、定期的に支給される配当金収入を期待することが一般的なのですが、近年ではさらに株主優待が投資家の間で注目を集めています。
株主優待とは企業から株主へのお中元やお歳暮のようなものであり、自社のサービスを株主に知ってもらうために自社商品や株主優待券などをプレゼントする企業が多く、さらに一部には自社の事業とは直接関係のないお米やクオカードなどをプレゼントする企業などもあります。
現在東京証券取引所に上場する企業の配当金利回りは年率1%~3%程度ですが、株主優待を実施する企業の中には配当利回りが5%を超えるものもあります。
株主優待は投資家にとってメリットが大きなサービスだといえるでしょう。
そこで今回は、実質「タダ」と言っても過言ではない方法で株主優待が得られてしまう「クロス取引」について、詳しく取り上げていきます。
誰にでも実践できる方法なので、ぜひ参考にしてくださいね!
Contents
株主優待券がタダで貰える!?クロス取引のメリットとは
そもそも株主優待とは?
株主優待は年に2回の権利確定日の時点において、株式を所有している株主に対して進呈されます。
例えば6月と12月が権利獲得月となっている銘柄の場合には、2018年においては6月26日と12月25日のそれぞれの取引終了時点で必要な数の株式を所有していれば、優待を貰うことができるのです。
株主優待を獲得する方法
特定企業の株主優待を毎回確実に獲得したいのであれば、株式を購入して株主になるのがおすすめです。
株主優待を実施する企業の株主になれば毎回の優待が確実に貰えますし、一定金額の配当金の支払いを受けることができます。
さらに所有する株式の株価が上昇すれば売却することで売却益を得ることができますので、株主優待以外にもメリットが大きいといえるでしょう。
必要な資金
ただし株式を購入するためには数万円から数十万円程度の資金が必要になりますので、複数の企業からの株主優待を獲得するためにはやはりある程度の資金力が必要になります。
優待は権利確定日の時点における株主が対象になりますので、例えば権利確定日の当日に株式を購入して、翌日に株式を売却しても株主優待を貰うことができます。
つまり、最短で2日間だけ株を保有していれば大丈夫だということです。
資金が限られる人の場合にはこの方法を活用すれば様々な企業の株主優待が獲得できますが、通常は権利確定日の翌日には配当金や株主優待の分だけ株価が下落してしまうため、株主優待を獲得しても株式売却による同額程度の損失が発生することになります。
クロス取引をすれば、実質タダで株主優待が受けられる!?
この「権利確定日の時点における株主に株主優待が進呈される」という特徴に注目したのが、今回ご紹介するクロス取引です。
クロス取引とは現物買い(現物取引で株式を買う方法)と信用売り(信用取引で株式を売る方法)を組み合わせた取引の方法であり、上手に活用すれば手数料の負担のみで優待を貰うことができます。
クロス取引の方法はそれほど複雑なものではなく、誰でも手軽に行うことができますので、優待をタダ取りしたい人は積極的にチャレンジしてみてください。
まずは準備から
信用取引の口座開設から
クロス取引を行うためには、まずは信用取引の口座を開設することが必要になります。
信用取引とは現金や株式を担保として行う取引のことであり、現金で株式を購入する通常の証券取引とは異なり、最大で担保とする現金や株式の評価額の3倍の取引を行うことができます。
例えば、15万円が必要な株があるとしたら、5万円の資金で取引を行なうことが出来るわけです。
このようにレバレッジを効かせた取引が可能となり、わずかな資金であっても大きな利益を狙うことができるのです。
信用取引は「売り」からの注文が可能になる
さらに通常の株式取引とは異なり売りからの注文が可能であることが、信用取引の大きな特徴になります。
通常の取引ではまずは株式を購入して、その後値上がりした株式を売却することで利益が得られるのですが、信用取引の場合にはまずは株式を売却して、その後値下がりした株式を買い戻すことでも利益が得られます。
信用取引では株価の上昇局面では買い注文で、株価の下落局面では売り注文で、それぞれ利益を得ることができるのです。
ただし!審査が必要となる
信用取引では借金をして取引を行うことになりますので、通常の取引とは異なり審査を受けて専用口座を開設することが必要になります。
審査というと厳しいという印象がありますが、信用取引の審査に通過することはそれほど難しいことではありません。
信用取引の口座の開設には株式取引の経験を有することが必要になりますので、通常の証券口座を開設してから少なくとも半年が経過してから信用口座の開設を申し込んでください。
信用取引の審査では株式の取引に関する、基本的な知識の有無が確認されます。
それほど専門的な知識が必要になるわけではありませんので、事前に書籍などで信用取引の基本的な仕組みをチェックしておけば審査には問題なく通過できるはずです。
審査に通過して信用口座が開設されれば、クロス取引の準備は完了です。
次は具体的なクロス取引の方法について、さらに詳しく確認してみましょう。
具体的な方法とは
実にシンプル!「現物買い」と「信用売り」を同時に行えばOK!
クロス取引の方法はそれほど複雑なものではなく、権利獲得日当日に現物買いと信用売りを同時に行って、権利獲得日の翌日に現渡しで決済を行えば手続きは完了します。
例えば100株所有で3,000円分の優待券がもらえる株主優待が欲しいのであれば、権利獲得日に現物取引で100株を成り行きで買い注文して、同時に信用取引で100株成り行きで売り注文すればOKなのです。
権利獲得日の取引が終了した時点で対象となる株式を100株所有していることになりますので、100株株主として3,000円分の株主優待券を受け取る権利が確定します。
さらに購入した100株と同値で100株の信用売り注文が成立していますので、権利獲得日の翌日に購入した100株を現渡しすればそれぞれの取引を決済することができます。
現渡しというのは手持ちの現物株式で信用取引の売り注文を精算する方法であり、株価の変動の影響を排除してあらかじめ確定した金額で決済することができるのです。
必要なのは手数料だけ!安ければ数百円でOK!
優待を獲得するためには現物取引と信用取引のそれぞれの手数料の負担が必要になりますが、近年ではネット証券における取引手数料がずいぶんと割安になっていますので、ほとんどの場合には数百円程度の費用でクロス取引を行うことができます。
株主優待券の儲け分を考慮すると実質タダに!
例えば300円の手数料で3,000円分の株主優待券が獲得できればトータルでは2,700円分の儲けになりますので、実質的にはタダで優待を獲得したと考えることができるでしょう。
翌日の株価下落による損失を回避しながらわずかな手数料のみで優待が獲得できるクロス取引は、資金力が限られる個人投資家に最適な取引手法です。
近年ではネット証券の多くが、株主優待を目的としたクロス取引を積極的に奨励しています。
信用取引口座の開設手続きやクロス取引の詳細については、取引を希望する証券会社に問い合わせて確認をしてみてください。
まとめ
クロス取引は株主優待がタダで貰えるおすすめの取引手法ですが、実際に活用する際には注意も必要です。
人気の高い株主優待銘柄は権利獲得日に近づくと信用売りの注文が増えるため、信用取引に必要な貸株の数が不足しがちになります。
特に市場に流通する株数が少ない銘柄に大量の信用売り注文が集まった場合には、信用売り注文に対して「逆日歩」(ぎゃくひぶ)と呼ばれる特別な利息が請求されることになります。
逆日歩の発生の有無や、逆日歩がいくらになるのかは、その日の取引が終了するまでわかりません。
権利獲得日の信用売り注文については、常に予想外の費用の負担が発生する可能性があることに注意をしてください。
逆日歩の金額は1株当たり0.05円~となっていますが、一部には高額な費用の負担が発生する事例などもあるようです。
あまり欲張りすぎるとかえって損をしてしまう可能性がありますので、クロス取引はくれぐれも無理のない範囲内で慎重に行うようにしましょう。